テルアビブ銃乱射テロ:4人死亡 2016.6.9

8日午後9時半ごろ、テルアビブ中心街、防衛省の前にある観光地サロナ内のカフェ/マックス・ブレナーで、無差別銃乱射テロがあり、イスラエル市民4人が死亡。5人が負傷者した。負傷者のうち、2人は重傷となっている。

犯人は、2人。一人はすぐにかけつけた治安部隊に撃たれて負傷し逮捕。もう一人もまもなく逮捕された。生存したまま逮捕されたため、現在、取り調べが行われている。

これまでにメディアで報道されたところによると、2人はヘブロン在住のパレスチナ人、ムハンマド・ムサ・マヘマラ(21)とそのいとこカリッド・メハマラ(21)。イスラエル軍は昨夜のうちに、ムハンマドの自宅へ強制捜査に入っている。

今のところ、組織的な犯行声明は出ていないが、アルーツ7によると、ハマスとPFLPが、犯行を賞賛。「テルアビブでの攻撃は、我々にとっての誇りであり、新国防相リーバーマンへのメッセージだ。」との文書を発表している。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/213469#.V1kCBKUWnA8

実際、犯行現場は、国防省とイスラエル軍本部の目の前である。テレビでは、リーバーマン新国防相にとっての最初のテストだと報じている。

ネタニヤフ首相はちょうどロシアのプーチン大統領を訪問して帰国し、ベングリオン空港でこのニュースを受けた。そのままテルアビブへ直行し、現場も視察。治安閣議を開いて、対処の検討を行った。

<ラマダン・パレスチナ人の入国許可凍結へ>

事件を受け、国防省は、ただちに犯人2人の親類縁者204人のイスラエル国内での労働許可を凍結した。

パレスチナ人のイスラム教徒は、6日からラマダンに入っている。イスラエルは、西岸地区・パレスチ人の入国規制を緩和していたが、事件を受けて、83000人の入国許可も保留とした。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4813768,00.html

*ラマダン中の祈り

ラマダンはまだ始まったばかりで、7月初頭まで続く。イスラエルのこうした入国規制は、イスラム教徒たちを怒らせることになるので、バランスが必要だ。

また補足になるが、ヨーロッパでは、明日からユーロ2016サッカートーナメントが始まり、テロの危険性がすでに指摘されている。幸い、ウクライナで、ユーロ2016でのテロを計画していたとみられる一味が逮捕され、一部は未然に防がれたが、トーナメント中は50万人がヨーロッパに来ると推察され、危険性はまだかなり高い。

それだけではない。ヨーロッパでは、各地各国で大雨で洪水が続き、先週だけで18人が死亡した。雨はこのあと1週間も続くみこみだという。

ラマダンが行われているこれからの1ヶ月、霊的戦いの意味合いも含め、まさに油断しないでイスラエルと世界のためのとりなしの強化が必要である。

<石のひとりごと:普通の日常に突然くるテロ>

テルアビブのサロナは、19世紀にドイツ人クリスチャンが開拓し、イスラエルが建国宣言を行った後には、最初の国会・政府関係省庁が置かれた地区である。そのなごりで、今も国防省が目の前にある。

サロナ地区は、高層ビルの間で、19世紀からの建物をそのまま残す観光地。オープンなレストランやカフェがあり、公園のようになっている。今回、犯行が行われたのは、そのサロナに面する高層ビルの一つ、サロナ・マーケットと呼ばれるレストラン・ビル一階、カフェ・マックス・ブレナーだった。http://saronamarket.co.il/en

マックス・ブレナーは、イスラエルブランドのチョコレート店でカフェを併設している。日本でいえば、東京都内のスタバのような感じである。犯人2人は、スーツにネクタイ姿で店に入り、普通に注文した後、突然、銃の乱射に至っていた。

防犯カメラには、店内に入る犯人ほか、銃声で出口に殺到する人々の姿が記録されていた。

しかし、さすがはイスラエル。犯行1時間後の午後10時20分には、すでに元の日常に戻ってOKとの指令が出ていた。テルアビブのロン・フルダイ市長も、「落ち着いて日常にもどってほしい。」と市民によびかけている。

・・・・・が、さすがに、都会のど真ん中で市民が4人も死亡したことをうけて、テレビも朝のモーニングショーから、現地からの報道が続き、この事件一色になっている。

テルアビブでは先週金曜、毎年恒例のゲイ・パレードが行われ、20万人の人出となったのだが、このときは、なにもなく、平和にイベントを終える事ができた。結局の所、テロというものは、いつどこで起こるのか全く予想しにときにおこるものである。

しかし、サロナといえば、市民の憩いの場。そこに、テロなど全く考えもしないで、ごく普通にコーヒーを飲んでいた4人が、一瞬にしてこの世を去った。誰一人自分が昨夜で死んでしまうと考えていた人はいないだろう。家族たちのショックも想像してあまりある。

場所が場所だけに、筆者にとっても今回は、ちょっとショックが大きい。。。

しかし、記事を掘り起こしている中、今年4月に、警察がサロナ・マーケットの警備が甘く、危険であるとして閉鎖するよう要請していたことがわかった。今後、問題に上って来るものと思われる。

www.timesofisrael.com/popular-tel-aviv-food-market-faces-closure-over-lax-security/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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