コロナ禍で加速するユダヤ人のイスラエル移住:南から北から西から 2020.5.22

Ethiopian immigrants shortly after landing at Ben Gurion Airport, March 24, 2020. (Michael Dimenstein/ GPO

コロナ禍で、ユダヤ人のイスラエルへの移住が加速している。今週水曜19日には、南のエチオピアから119人、20日には、北のウクライナから111人が移住した。

移住者は、今も、入国後2週間の隔離となるが、それでも、コロナ危機により、逆にイスラエルへの移住希望者は20%増えているとのこと。

また欧米からの移住を支援するネフェシュベネフェシュによると、4月から5月初頭にかけて、アメリカからイスラエルへ移住したユダヤ人の数は、昨年の同時期にくらべて、50%の増加しているという。

南から:エチオピアから119人

19日、エチオピアから新移民119人が到着した。エチオピアからは、エチオピア政府がコロナ危機で空港を閉鎖する直前の3月24日にも、14家族、79人が到着していたが、今回、到着したのは、この時に出国できなかった人々の一部である。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/280646

www.timesofisrael.com/hours-before-border-closes-72-ethiopian-immigrants-land-in-israel-overnight/

エチオピアからの移住については、旧政府が250人の帰化を認めていたが、3月2日の総選挙以後、コロナ危機を理由に、延期としていた人々である。

エチオピア人たちは、ファラシャムーシャと呼ばれ、過去に一時キリスト教に改宗した歴史がある。このため、ユダヤ人の間では、ファラシャムーシャは、ユダヤ人ではないとして、イスラエルへの移住に疑問視する声もある。

しかし、これからはその問題も軽減するだろう。19日、エチオピアからの一行を迎えたのは、初のエチオピア移民出身大臣として、就任したばかりのプニナ・タマノーシャタ移民相と、ハイム・ヘルツォグ・ユダヤ機関代表であった。

www.timesofisrael.com/jerusalem-day-march-to-be-replaced-with-700-person-chain-around-old-city/

北から:ウクライナから111人

この翌日20日には、ウクライナから109人が到着した。このグループも3月中に移住の予定であったが、ウクライナ政府が、出入国を停止したので、イスラエルに来ることができなかった。今回は、IFCJの特別な計らいで出国できたという。

i24によると、111人のうち、21人が子供で、最年少は8ヶ月、最年長は89歳だという。多くは先に移住している家族に合流するとのこと。

www.i24news.tv/en/news/israel/society/1589901032-new-wave-of-immigrants-to-israel-expected-following-opening-of-air-travel

オデッサから来たセルギエンコさん(57)は、移住は長年の計画であったと述べ、「前にいたところでは、ユダヤ教に誇りをもつことができなかった。しかし、コロナ危機でイスラエルが責任ある動きをしていることがわかった。今熱風が来ていると聞いたが、(寒い国の人にはつらい)、強くはありません。」と語った。

www.jpost.com/diaspora/20-percent-increase-in-demand-for-aliyah-following-the-coronavirus-crisis-628759

*IFCJ:International Christians and Jews(国際クリスチャン・ユダヤ人フェローシップ)

前にも紹介したが、この団体は、ユダヤ人が立ち上げ、クリスチャンが協力して、ユダヤ人の移住を助けている国際団体である。

設立されて25年。これまでに2億ドル(約240億円)をかけて、75万人の移住を達成したとのこと。2014年からは独自でも活動を始めており、独立以来の移住者は、30カ国から2万3000人。移住後の家探しなどの支援も行っている。

西から:4月・欧米からの移住50%増

欧米在住のユダヤ人のイスラエルへの移住を支援するユダヤ人団体ネフェシュ・ベネフェシュによると、コロナ危機が厳しかった4月と5月初頭のアメリカからイスラエルへの移住は、昨年の同時期より50%も多かったという。

特にニューヨーク、ニュージャージーで新型コロナの被害が大きかったことから、移住に拍車がかかったとみられている。

www.jpost.com/diaspora/50-percent-rise-in-aliyah-applications-from-us-jewish-agency-expects-more-626900

石のひとりごと:聖書が言う通り

南はエチオピアから肌の黒いユダヤ人が、北からは、真白なウクライナのユダヤ人が、ほぼ同時にイスラエルに移住した。それを助けるプロジェクトに、異邦人であるクリスチャンも協力している。

この現象は、イスラエルが建国して以来続いていることではあるが、今現在もまだ続いてり、まさに聖書のことば通りで、感動する。

恐れるな。わたしがあなたとともにいるからだ。私は東から、あなたの子孫を来させ、西からあなたを集める。わたしは北に向かって「引き渡せ」と言い、南にむかって、「引き止めるな」という。わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てからこさせよ。
(イザヤ書43:5−6)

見よ。わたしは国々に向かって手を上げ、わたしの旗を国々の民に向かって揚げる。彼らは、あなたの息子たちをふところに抱いて来、あなたの娘たちは肩に負われてくる。(イザヤ書49:22) *異邦人(ユダヤ人以外の人々)が、ユダヤ人をシオン(エルサレム)に戻ってくるということ。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。