ガザ人道支援不足は国連の配布システム不良が原因:COGATが公式説明 2024.1.6

Palestinians crowded in to get a free meal in the city of Rafah in southern Gaza last month.Credit...Fatima Shbair/Associated Press

ガザで深刻な食料不足

ガザでは230万人以上の住民のうち85%にあたる190万人が、国内避難民となっている。その多くは、南部海岸に近いアル・マワシのテント村にところせましと住んでいる。清潔な水がなく、トイレの数も全然足りてないので、不衛生きわまりなく、伝染病が蔓延している。

また、国連のニュースによると、ガザで難民となっている人々の90%が、丸一日食料がない日を経験しており、20%は極度の食糧難に直面しているという。そのうち餓死者が出る可能性があるとも言われている。国連によると、この状態の中で、毎日180人の女性が出産している。

国際社会はこれをイスラエルの攻撃が原因と非難し、直ちに戦闘を止めるよう、イスラエルに圧力をかけている。

ガザへの人道支援物資搬入:ガザ内で配布を担当の国連のシステムに問題

これに対し、5日、イスラエル軍の中で、パレスチナ人地区との人道支援など市民レベルの問題を担当するCOGAT(Coordinator of Government Activities in the Territories)のエラッド・コーヘン少佐は、数値を出して、イスラエルは人道支援を十分行っているのに、ガザに入ってからの国連による分配が問題だとする説明を公式に発表した。

コーヘン少佐は、まず、ハマスに関係していない市民は敵ではないとし、支援はそういう市民にのみ行っていると強調。COGATは、水や食料だけでなく、住居や医療状況も国連などあらゆる組織と協力してアセスメントしていると語った。

1)水、食料支援

ガザは戦争以前から食糧支援を受けていた。10月7日以前は、毎日トラック70台分の食料がガザに入っていたが、ニツアナ検問所に加えて、ケレン・ショムロン検問所からも入れるようにしたので、今週は平均109台分が入っている。

これまでにガザに搬入された食料は、トラック7100台による12万6000トンとなっている。

*ガザへの食料搬入ルート

①国際支援ー②アル・アリシュ港(エジプト)ー③ニツァナ検問所とカレン・ショムロン検問所(イスラエル)でセキュリティチェックー④カレン・ショムロン検問所とラファ検問所からガザへ搬入ー⑤ガザ内部の国連組織が受領して、ハマスに無関係の市民たちに配分する。

国連の要望に応じてイスラエルは、ケレン・ショムロン検問所を2つ目の通過点として解放した形である。

2)医療支援

これまでに1万1220トンの医療物資を980台のトラックで搬入した。野戦病院も設立したし、保育器や大量のワクチンを供給したほか、重症者を病院へ移送したり、医療スタッフの補充も行った。

難民キャンプエリアには、野戦病院が7箇所あり、まだこれからできる予定の病院もある。

新しいテントやシェルターの設立、国際的な組織とのコーディネートも行っている。UAEが、エジプトとラファを結ぶ水道を建設中なのでその支援や、水道、下水システムの修理も行っている。

3)ガザ内部国連機関における目詰まり

コーヘン少佐は、イスラエルは、人々のニーズに最大限応じようとしているが、⑤のガザ内部の国連組織のところで、入ってきた食料などがうまく配布できていないと指摘した。ラファからの搬入を止められることもあるという。

コーヘン少佐は、国連は、通過点であるカレン・ショムロンのキャパを拡大しなければならないと指摘。特にカレン・ショムロンに人材増援、労働時間延長が必要だと述べた。

イスラエルは、やるべきことはやっている。問題は国連だと強調した。

ヨルダンとフランスが上空から人道支援物資7トンを補充

1月4日、ヨルダンとフランスが協力して、上空から人道支援物資7トンを落下させる作戦を開始した。以下のクリップでは、物資の箱にパラシュートをつけて落下させている。

物資はヨルダンが設立した野戦病院に誘導されるシステムが付けられているという。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。