イランが核合意離脱第3弾:アメリカとイランの攻防 2019.9.10

スラエルとイランの攻防に並行して、イスラエルの同盟国アメリカとイランの(外交的戦略的)攻防も激しくなっている。

イランは、4日、ウランの新しい濃縮を加速する遠心分離機の開発を開始すると発表。世界との核合意から逸脱する項目をまた一点加えた。これで3回目である。

イランは、アメリカの厳しい経済制裁を受けながらも、相変わらず、最新の誘導式ドローンを発表するなど強気姿勢を崩していない。

アメリカとイスラエルは、イランが経済的に根をあげるまで、制裁を続ける方針だが、ヨーロッパは、アメリカ抜きでも2015年のイランとの核合意を維持したいと考えている。報道によると、フランスのマクロン大統領が、イランに150億ドル分の支援を申し出たとも伝えられている。

これを受けて、イランは、アメリカが離脱した分の原油輸入や、経済支援をヨーロッパが、カバーするなら核合意にとどまると発表した。

しかし、イランは、その直後に、核合意から3回目となる逸脱の項目を発表した。同時に、ヨーロッパとの交渉帰還を2ヶ月延長すると発表した。イランとしても、ヨーロッパからの資金が得られるなら、得たいところであろう。

jp.reuters.com/article/iran-nuclear-centrifuges-idJPKCN1VP2Y2

<回り回ってイランのタンカーがシリアに到着か>

ジブラルタル海峡で、7月、違反にシリアへ原油を搬入しようとしているとしてイギリスに拿捕されたイランのタンカー「アドリアン・ダルア」。アメリカの強い警告をよそに、イギリスがこれを釈放。その後、トルコへ向かっているとも、レバノンに向かっているとも伝えられていた。

それが結局、6日、人工衛星の写真で、シリアの港付近にいるのが発見された。石油はすでに売却済みであった。結局、シリアに売却された可能性が高い。

BBCによると、アメリカは、このイランのタンカーを買収しようとして、アドリアン・ダルアのクマール船長に、船をアメリカが拿捕しやすいところに移動してくれたら数百万ドルを支払うと買収をこころみていた。

クマール船長がこれを断ったことから、アメリカは、イランとの船の連携をした者への経済制裁を新たに発動。この時クマール船長への個人的経済制裁も発動したとのこと。アメリカ国務省はこれを認めている。

www.bbc.com/news/world-middle-east-49589075

中東では、イスラエルとイランとの攻防にとどまらず、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、サウジラビア、中国など世界を巻き込んで、しのぎを削るような知恵比べが繰り広げられている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。