イスラエル人死者100人越え・52人がガザへ拉致か:北部国境も緊張2023.10.8(7日19:00pm(日本時間01:00))

奪ったイスラエル軍車両でガザへ向かうパレスチナ人たちPalestinians drive a captured Israeli military vehicle in Gaza City on Oct. 7, 2023. (AP Photo/Hatem Moussa)

続く国内での戦闘:死者100人越え

ガザからのロケット攻撃は、6日早朝から2200発連続で発射され、ハマスは5000発と発表していたが、その後もロケット攻撃は続いており、迎撃ミサイルが撃墜している。

city of Sderot, Saturday, Oct. 7, 2023. (AP/Tsafrir Abayov)

徐々に明らかになってきた現地情報によると、イスラエル人の死者は100人、負傷者も1000人を超えているとのこと。まだ増えていくとみられる。

www.jpost.com/israel-news/defense-news/2023-10-07/live-updates-762053

www.mako.co.il/news-military/6361323ddea5a810/Article-4919291fb380b81026.htm?sCh=31750a2610f26110&pId=173113802

イスラエル国内ライブで配信されているニュース

ガザへ拉致?イスラエル人捕虜は52人:ハマス情報

ガザから侵入したパレスチナ人らに拉致されたイスラエル人たちは、当初スデロットと伝えられていたが、ガザ国境南東部のキブツ・べエリの住民とイスラエル兵であった。

キブツ・べエリに近い、キブツ・レイムでは、6日夜、屋外で、オールナイトの仮庵のイベントが行われていた。早朝の攻撃開始とともに、大勢が走って逃げるカオスなっていた。その中にいた人々によると、銃撃の中、走ったのだという。

以下はテロリストたちが侵入したエリアの住民たち。「静かに」と言いながら隠れている?

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武装パレスチナ人たちは、侵入後6時間後もまだ、国内22カ所で戦闘状態が続いており、7つのコミュニティと1つのイスラエル軍基を占領する状態にある。先にイスラエル軍戦車1台を略奪したが、その他複数の軍車両も自由に乗り回している。

拉致されるイスラエル人 from Kibbutz Kfar Azza into the Gaza Strip on October 7, 2023. (AP Photo/Hatem Ali)

ハマスによると、これまでに拉致したイスラエル人老若男女は52人。その中にはMDA救急隊隊員2人と、司令官レベルのイスラエル兵も含まれるとのこと。

拉致されたイスラエル人は、一部はキブツ・べエリの家屋に、捕虜とともに立てこもっていたとのことだったが、携帯位置情報によると、ガザ地区内のカン難民キャンプに連れ去られたもようである。

www.timesofisrael.com/thousands-flee-rocket-and-gunfire-at-all-night-desert-nature-party-dozens-missing/

こうなると、イスラエル軍が空爆しにくくなると考えているのかもしれない。しかし、その人々の中には、すでに殺された人もいるとみられている。

www.timesofisrael.com/hamas-claims-to-capture-soldiers-civilians-in-deadly-assault-on-gaza-border-towns/

*どうやってハマスは侵入できたのか?

それにしても、イスラエルはガザとの国境の間に、地上、地下に物理的なバリアをはりめぐらせている。それをどうやって超えたのか。現在調査中だが、チャンネル2は、複数の地点で、「アラー・アクバル」と言いながら、防護バリアを破壊するパレスチナ人たちの様子を報じている。

Times of Israelによると、ガザからの侵入は海からも発生しており、海軍がこれを撃退する様子もある。

イスラエル軍の反撃でパレスチナ人198人死亡:海からも侵入試みるハマス

ハマスの奇襲を許してしまったイスラエルは、「鉄の剣作戦」を宣言。反撃に出ている。

国内では侵入者たちとの戦闘を続けており、当然ながら、双方に死者が出ている。以下は、住宅地での戦闘の様子。

また、詳細は不明だが、ガザへの空爆も行っている。ガザの保健省によると、これまでに、イスラエルの反撃で死亡したパレスチナ人は198人。負傷者は1610人。

以下はガザを攻撃するイスラエル軍の様子

大規模な予備役兵を招集しているイスラエル軍が、今後どんな反撃に出るのかはまだ明らかでないが、かなり大規模になると予想される。

アラブ政党ラアム党アッバス氏が蜂起しないよう呼びかけ

ハマスは、イスラエル国内のアラブ住民たちにも立ち上がるよう呼びかけている。アラブ人として、このような反戦への声明を出したのはアッバス氏が最初となった。今の所、国内アラブ人の動きはない。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/raam-leader-abbas-urges-arab-community-not-to-respond-to-incitement-calls-for-unity/

これからどうなる?緊張する西岸地区と北部国境

これまでの分析から、イランは、ライバルであったハマスとイスラム聖戦を結びつけることに成功している。それが今回の戦闘に繋がっている可能性がある。

またイランは、ガザだけでなく、西岸地区とレバノン南部にいるパレスチナ組織も支援しており、イスラエルを周囲全体から攻撃する可能性が懸念されてきた。

隣国シリアには、イラン武装組織が入っており、最近イスラエルとみられる攻撃で、多数のシリア兵やイラン兵が死亡している。

今最も懸念されるのは、この点で、西岸地区や北部国境と、イスラエル周囲全体から同時攻撃が始まることである。これに加えて、北部で最も懸念されるのは、ヒズボラが動くかどうかである。ヒズボラは10万発以上のミサイルを、すでにイスラエルに向けて準備している。

北部地域に在住する退役サリット・ゼハヴィ氏(ALMAリサーチセンター所長)は、現時点で北部はまだ平穏を保っているとのことだが、住民の恐怖は半端ないという。

写真は、7日午後に、テルアビブで開かれた治安閣議の様子(写真:Haim Zach (GPO))

ゼハヴィ氏は、現時点で、ヒズボラはまだガザに便乗するかどうかは決めていないと予測する。しかし、今後の流れでは、いつどの瞬間にでも北部への攻撃は始まると見ている。

対策の一つとして、もし、イスラエル軍ができるだけ早く、大規模で絶対的な権威を示すような反撃をすれば、ヒズボラは参入をしないと決めるかもしれないと語る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。