イスラエルの将軍交代:新イスラエル軍参謀総長就任 2019.1.17

14日、15日、テルアビブの軍本部で、イスラエル軍参謀総長の交代式が行われた。

まず14日、2015年2月から4年間、イスラエル軍参謀総長を務めたガビ・エイセンコット氏(58)が任期満了により退任。15日、これまでエイセンコット氏と共に副参謀総長を務めてきたアビ・コハビ氏(54)が、第22代イスラエル軍参謀総長に就任した。

就任式には、リブリン大統領、ネタニヤフ首相も出席し、前参謀総長、新参謀総長にそれぞれ祝福を述べた。イスラエル軍参謀総長の交代は、国としては一大行事なのである。

この後、エイセンコット前参謀総長と、コハビ新参謀総長はそろって、歴代指導者と戦死者の墓地であるヘルツェルの丘を訪問。続いて嘆きの壁に赴いた。

コハビ参謀総長は、これまでに命をささげてきた全ての兵士たちとこれまでの参謀総長に続き、全力をかけて祖国を守ると嘆きの壁の、前で誓いを述べた。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5447091,00.html

<アビ・コハビ新参謀総長はベジタリアン>

コハビ参謀総長は現在54歳。学歴は、ヘブライ大学で哲学に続いて、ハーバード大学(US)で公的管理、ジョン・ホプキンス大学(US)で国際関係と、2つのマスターの学位をもっている。

1982年に従軍。パラシュート部隊に志願した。その後、士官の訓練を受け、2000年の第二次インティファーダから2002年の防衛の盾作戦(ガザ)での戦闘で諜報部の指揮をとった。その後、北部戦線の総指揮官も務めた。2017年5月から、副参謀総長となり、昨年10月、国会で、次期参謀総長の承認を受けていた。

コハビ参謀総長は、西岸地区のテロリスト逮捕のために家屋へ次々と突入の際、兵士たちを射撃手から守るため、5キロのハンマーを使って(穴をあけるながら?)突入する作戦を考案したことで知られる。非常に頭脳明晰な人物。

www.timesofisrael.com/aviv-kochavi-set-to-take-over-as-idfs-22nd-chief-of-staff/

妻と3人の娘がいる。軍人にしてはめずらしくベジタリアン。しかも、牛乳も卵も食さない徹底したベジタリアンのベーガンだという。

最も知力体力を要するイスラエル軍参謀総長がベジタリアンでやっていける。。。のであれば、我々凡人に実は肉は不要なのであろうか・・・

www.jewishpress.com/news/israel/idf/meet-vegan-philosophy-major-aviv-kochavi-new-idf-chief-of-staff/2019/01/15/

<石のひとりごと>

建国70年の節目を迎えたイスラエルに新しい将軍が誕生した。聖書時代で言うなら、さしずめ王になる前のダビデであり、ダビデが王になってからのヨアブ将軍である。

日本では自衛隊総長がだれになろうが、関心を示す国民はほぼ皆無であろう。しかし、イスラエル軍の参謀総長は、国の存亡というだけでなく、即、自分や夫、息子、娘たちの命にもかかわってくる非常に重大な人物である。

就任式の様子は、生放送で報じられ、メディアはいっせいにコハビ氏の人となりを報じた。

イスラエルは常に周囲を敵に囲まれている国である。特に今は、北からも南からもいつ戦争になっても不思議はなく、アメリカがシリアから撤退し始めた今、イランの脅威はこれまでなかったほどに大きい。西岸地区の治安も非常に厳しくなってきている。

INSS(国家治安研究所)は、現時点でのコハビ参謀総長の任務の重さを10項目にあげて指摘する。特に、北での最初の戦争への準備をあげている。

4年間の任期を無事終えたエイセンコット氏と、その妻の晴れ晴れとした表情から、これからのコハビ氏の任務の重さを、緊張を持って実感させられた。

www.inss.org.il/publication/ten-leading-challenges-facing-new-chief-staff/?utm_source=activetrail&utm_medium=email&utm_campaign=INSS%20Insight%20No.%201130

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。