べエルシェバで残虐な無差別テロ:若い母親2人とラビなど4人死亡 2022.3.23

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ウクライナ情勢をカバーするので精一杯だが、その間、イスラエル国内では、パレスチナ人との衝突が連発していた。そうした中、市民4人が死亡、2人が負傷する残虐なテロが発生した。

ベエルシェバでユダヤ人市民4人死亡

22日、日中、ベエルシェバの市街地の通りでアラブ人によるナイフと車によるつっこみという無差別テロが発生。ユダヤ人4人が死亡した。テロリストは、駆けつけたバス運転手と男性市民1人によって射殺された。市民4人もの犠牲者を出すテロは2016年(4人死亡16人負傷)以来だという。

犯人は、ネゲブのベドウイン村、フラ出身のモハンマド・ガーレブ。アブ・アラ・キーアン(34)。防犯カメラによると、モハンマドは、まず、ガソリンスタンドにいたローラ・イツハクさん(43)を、残忍にナイフで何度も刺して殺害。

車にもどって、BIGショッピングセンター近くで自転車に乗っていた男性、ラビ・モシェ・クラビツキー(50)をはねた後、車から出て、ショッピングセンターに来ていた人々をナイフで刺してまわった。救急搬送された人は5人。

この様子を見て、銃を持っていたバス運転手のアーサー・ハルモグさんが、モハンマドに武器を下ろすよう叫んだ。しかし、モハンマドは逆に向かってきたため、アーサーさんが発砲。ほぼ同時に近くにいた男性も発布したか、モハンマドは即死した。

被害にあった5人のうち、はねられたラビ・クラビツキーさんと、ナイフで刺されたメナヘム・イエヒゼケルさん(67)、ドリス・ヤバスさん(49)が死亡。2人は重傷を負っているがなんとか落ち着いたもようである。

警察によると事件発生から、犯人の死亡まで約8分。警察が来たのは、通報から4分後だったため、対処したのは、落ち着いて、勇敢に行動した市民であったということである。

しかし、ハイモグさんは、「彼は動物ではない。人間だった。でも殺すしかなかった。」と語っている。警察からは称賛されているが、今後、ハイモグさんの人生にも一生ついてくる傷になりそうである。

また、この映像が世に流されたため、モハンマドを撃った2人が危険にさらされている可能性があるとして、1人は、調査のために警察に銃を取られたままで、家に帰ろうとはしなかったという。一瞬の犯罪で残された問題は、あまりにも多く、また深そうである。

www.timesofisrael.com/in-spat-over-pistol-police-threaten-to-arrest-man-who-shot-beersheba-attacker/

悲惨な被害者とその家族たち

今回、通報を受けて駆けつけ、ドリス・ヤバスさんの蘇生を開始した救急隊隊員は、それが自分の叔母であることに途中で気がついたという。ドリスさんが生き返ることはなかった。

騒動を聞いて夫がかけつけた時、ドリスさんはすでに死亡していた。ドリスさんは、モシャブの農家の主婦で3人の子供(6歳、12歳、14歳)の母であった。

また通報を受け、最初に警察官は、ガソリンスタンドで刺されて死亡したいる女性が、彼自身の妹、ローラ・イツハクさんであることに気がついた。ローラさんは、この夫と待ち合わせしていて被害にあっていた。ローラさんも3人の子供の母親であった。

www.timesofisrael.com/two-first-responders-encounter-family-members-among-the-dead-in-beersheba-attack/

また死亡したラビ・クラビツキー(50)は、ベエルシェバではよく知られたハバッド派のラビで、地域の困窮した人々のためのスープキッチン(無料食堂)を運営していた人だった。10-22歳の子供4人の父親であった。

4人目の犠牲者、メナヘム・エゼキエルさん(67)は、ぶらっと散歩に出て被害にあっていた。子供はいないが、仲の良い4人兄弟の1人であった。

反抗の背景:悪化するパレスチナ人との関係

残忍な反抗に及んだモハンマド・ガーレブ・アブ・アラ・キーアン(34)は、2015年にISに関係しているとして逮捕され、4年服役したが、2019年に釈放されていた。警察によると、犯行はモハンマドの単独犯とみられている。

www.timesofisrael.com/beersheba-terrorist-called-ticking-bomb-in-previous-case-but-got-light-sentence/

しかし、ハマスはこれを称賛する声明をだした。ウクライナ情勢でなかなか目が向けられない状況ではあるが、ここしばらくパレスチナ人によるテロ行為が続いている。

20日、東エルサレムで、警察官2人がパレスチナ人に刺された。犯行は付近に住むパレスチナ人(23)で、すでに逮捕されている。

その前日19日には、エルサレムのヘブロン通りで、ジョギングしていた男性が刺され軽症を負った。その前にもエルサレム旧市街で、複数のナイフによるテロが発生し、西岸地区でも同様の事件が発生していた。

この事件を受け、警察は、同様の事件が発生する可能性があるとして警戒体制をとっている。しかし、イスラエルでは、今後、4月2日からラマダン。15日からは過越、17日は復活祭と、緊張が続く時期に突入していくことになる。

www.timesofisrael.com/police-officer-moderately-hurt-in-east-jerusalem-stabbing-assailant-flees/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。