イスラエルでアラブ人居住区で感染拡大しているのと並行し、西岸地区、ガザ地区のパレスチナ人の間でも、感染が拡大している。パレスチナメディアが11月26日に伝えたところによると、側近24時間でパレスチナ人18人がコロナで死亡。新たに1906人の感染が確認されたという。
感染者の内訳は、西岸地区だけで1110人。このうち、最も深刻なのが、ナブルスの202人。続いてラマラが168人。ヘブロン166人。クリスマスを控えたベツレヘムは135人。このほかジェニンが137人となっている。
english.wafa.ps/Pages/Details/122129
パレスチナ人の間での感染状況は、これまでの累計が1万5563人。西岸地区が6903人、ガザ地区が9470人となっている。この中で、側近24時間で1906人増えたというのは、明らかに急増といえる。
問題は、検査数に対する陽性率が、26%に上っている点。日本と同様に検査数が足りてないという側面と同時に、市中感染がかなり進んでいることが懸念される。
こうした状況を受け、イスラエルは、11月12日、イスラエル市民(特にアラブ系市民)が、パレスチナ人地域へ行くことを事実上禁止する措置をとった。しかし、パレスチナ人労働者がイスラエルへ入ることを禁止する措置は慎重になっている。
パレスチナ人で入植地を含むイスラエル側で働く人は、10万人で、パレスチナ人の15−20%は、イスラエルで働いて生計をたてていることになる。一回目の波の際、イスラエルは、この人々の入国を一時停止した。この時点でイスラエル国内にいた人は、パレスチナ側へ帰れなくなるという混乱もあった。
その後、感染が軽減してからは、パレスチナ人に出入りが再開されていたのであった。再び、これを停止してしまうことは難しいが、ネタニヤフ首相は検討に入っているもようである。
www.timesofisrael.com/pm-israel-may-close-west-bank-crossings-to-palestinian-areas-amid-virus-surge/
<クリスマス時期を迎えて>
12月は、西岸地区ベツレヘムで、クリスマスの様々な行事が始まっていく時期である。通常なら、12月初頭から行事が続いていく。特に、にぎやかなのが、巨大なクリスマスツリーへの点火式である。
いつもは、馬小屋の広場に群衆が集まって祝うのだが、今年は参加者を、わずか50人に絞るという。ベツレヘムの主要収入源は観光で、その入り口は、基本的に、イスラエルのベングリオン空港である。
イスラエルへの外国人観光客の出入りがまだ許可されていないということは、ベツレヘムへの観光客もまだほぼ0ということ意味する。非常に厳しいクリスマスになりそうである。
mainichi.jp/english/articles/20201123/p2g/00m/0in/002000c
<コロナでイスラエルの病院で治療中だったサエブ・エレカット氏死亡>
もう2週間前になるが、多くの既往を持ちながらコロナに感染し、エルサレムのハダッサヘブライ大学病院に入院していたパレスチナ自治政府高官のサエブ・エレカット氏(65)は、ハダッサに入院後、約1ヶ月後の11月10日、死亡した。
エレカット氏は、長年、アメリカを仲介としたイスラエルとの交渉にのぞんできたベテラン政治家である。最後はイスラエルで迎えることになったのは、なんとも皮肉かもしれない。
イスラエルの方でも長年の付き合いでもあり、最後は、エクモを使って最善の医療を提供していた。
edition.cnn.com/2020/11/10/middleeast/saeb-erekat-palestinian-negotiator-dies-intl/index.html