ガザへ建築物資搬入開始 2014.10.15

ガザ地区復興会議で54億ドルが集まり、建築物資を安全に搬入する手順が定められたことを受けて(前回オリーブ山便り参照)、14日、トラック60台が、イスラエルからガザ地区へ入った。

搬入したのは、セメント600トンと、トラック10台分の金属。戦後、建築物資がガザへ入るのはこれが最初となる。

同時に、イスラエルは、ガザ地区の農産物(なつめやしとスイートポテトなど)を西岸地区へ販売する許可を出すと発表した。数週間以内に、15トンの農産物が、西岸地区へ搬出されることになっている。(イスラエル軍発表)

ガザ地区から西岸地区への農産物出荷は5年ぶりとなる。建築物資搬入と、農産物の出荷は、イスラエルとパレスチナが、仲介者を介して停戦合意に至った項目の履行である。
www.jpost.com/Arab-Israeli-Conflict/Reconstruction-materials-enter-Gaza-for-first-time-since-war-378905

<バン・キ・ムン国連総長、ガザ地区視察>

ガザへの物資搬入が始まると同時に、国連のバン・キ・ムン事務総長がガザ地区を訪問、視察。ガザのビーチでは、パレスチナ人の漁師たちとも面会した。

バン氏は、ガザの激しい破壊の現場を見、「想像を絶する破壊」と語り、これまでの”建てては壊す”という悪循環を断ち切るため、イスラエルは国境閉鎖の緩和をすすめなければならないと語った。

バン氏は、ガザからの帰り、イスラエル側で、ハマスのトンネルを視察。ガザ周辺で、ハマスのロケット攻撃で死亡したダニエル君(4)の両親、トレガマンさん家族と会った。

トレガマンさんは、国連が、イスラエルの戦犯を調査する委員会を立ち上げたと聞いて、「ハマスは戦犯ではないのか」との講義文をバン氏に送っていた。しかし、バン氏からは、今に至るまで何の返信もなかったと怒りを表明している。

国連総長は、イスラエルではネタニヤフ首相、リブリン大統領と会談した。リブリン大統領は、「ガザの人々も安全によりよい暮らしをする権利がある。しかし、国境を解放するのは、ガザ地区が、非武装になってはじめて可能になる。」と語った。

<物入りな国連と世界>

国際社会は、ガザに54億ドルもの支援金を決めたが、同じ週、世界銀行は、4億ドル(500億円)を、西アフリカのエボラ熱対策として拠出することを決めた。アメリカは、7.5億ドル(800億円) を計上し、兵士4000人を派遣する。

オバマ大統領は、この件に関して阿部首相と電話会談し、日本にも協力を要請している。

エボラ熱の死者は、現在 4447人。アメリカでは先に院内感染した看護師に続いて、もう一人看護師が感染していることがあきらかとなった。

まだまだ広がる傾向にある。もし、主要感染3国の隣国、コートジボアールへ拡大した場合、カカオの生産と収穫(10月末ぐらいから)に影響が出るとみられ、警戒感がひろがっている。チョコレート産業も、エボラ対策に支援金を拠出している。

www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H0M_Q4A930C1000000/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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