30日未明、シリアからレバノンのヒズボラへ、ロシア製地対空ミサイルなどを輸送中だった車両をイスラエルが空爆したとみられる問題について。
1日たった今日になりイランが、「テルアビブが深刻な事態になる」と報復攻撃を示唆。シリアも「サプライズ報復の準備がある。」と言っている。
エルサレム市内の様子は特にかわりないが、テレビのニュースでは、全国的に新しいガスマスクの配布が行われ、市民たちが受領している様子が報じられていた。
具体的にどのような攻撃がいつどこであるのかは全く不明だが、イスラエルだけでなく、海外のイスラエル大使館などが狙われる可能性も懸念されている。
特にインドのニューデリーでは、イラン人テロリストによるイスラエル外交関係者へのテロ事件からちょうど1年が近づいているため(2月13日)、すぐにイスラエル大使館周辺の警戒態勢に入ったという。
<国連:攻撃されたのはシリアからヒズボラへの武器輸送車両隊>
シリアは、攻撃されたのは武器輸送車両ではなく、シリアの軍事科学研究センターだったと主張。イスラエルが西側諸国と策略してシリアの反政府ゲリラを助けるために軍事介入したとして、国際法違反だと国連に訴えていた。
しかしBBCは31日、国連の情報として、「攻撃されたのは武器輸送中の車両」だったと伝えた。アメリカもシリア政府に対し、「武器をレバノン(ヒズボラ)に移動させないように」と釘をさした。
アメリカの情報筋によると、今回の攻撃についてアメリカはイスラエルより事前連絡を受けていたという。これについてはイスラエルもアメリカもコメントを出していない。
<なぜ高いリスクを負ってでも攻撃したのか>
今回、もしイスラエルが本当に、シリア領内で攻撃していたとしたら、大変なリスクを承知の上で攻撃したことになる。専門家は、それほどシリアからヒズボラへの武器移送事情、または化学兵器事情が深刻だったということだと語る。
イスラエルが他国領内での攻撃を行うのはこれで2回目。昨年、スーダンからガザへ武器を供給しているとみられるスーダンの武器工場をイスラエルが攻撃したといわれている。(この時もイスラエルはノーコメントを通した)
この時、スーダンはイスラエルへの報復を叫んだが、実際に報復されたという報告はない。
今回も、危険な武器がヒズボラの手に渡ってから戦うよりも、たとえ国際的なリスクを負ってでも、国土からできるだけ遠いところで処分するという、イスラエルの防衛の原則を発揮したものと思われる。