アフガニスタン最後のユダヤ人脱出:アフガン人子供たちとともに 2021.9.8

スクリーンショット

アフガニスタンの混乱が報じられている。そうした中、頑固にアフガンからの脱出を断っていた最後のユダヤ人、ゼブルン・シマントーブさん(62)が、ついにアフガニスタンを陸路で脱出したことをイスラエルのテレビニュースが伝えた。

シマントーブさんは、タリバンからの脅迫を受けてもなお、ユダヤ人組織からの脱出支援の申し出を断っていた。しかし、8月末にアメリカ軍が完全撤退し、タリバンだけでなくイスラム国が出てくると、シモントーブさんもようやく恐れ始めた。さらに、近隣のアフガン人たちが、頼むから子供だけでも一緒に脱出させてほしいと頼み込んできたことから、脱出を決心したという。

Times of Israelによると、シモントーブさんは、ユダヤ人として周辺アフガニスタン人にその住居も知られていたのこと。このため、シオントーブさんに外部から救出の手が届くのもみていたのだろう。

モティ・カハナさん
wikipedia

イスラエルのカン・ニュースが伝えたところによると、救出したのは、これまでからもシマントーブさんに脱出の申し出をしながら、断られてきた、アメリカ系イスラエル人ビジネスマン、モティ・カハナさんの民間警備会社である。

背後でその活動の費用を調達したのは、ニューヨークの超正統派ユダヤ教、モシェ・マルガレッテンさんであった。

シモントーブさんは、30人ほどの子供たちと女性とともにバスで陸路国境を越えた。その先はおそらくアメリカへ向かうとみられている。

シマントーブさんがこれまで、頑固にイスラエルへの移住を断ってきたのは、すでに1998年から、シモントーブさんと別れて、1998年にすでにイスラエルに移住をすませた妻と正式な離婚をしたくなかったからである。イスラエルにいけば、妻の要望に応じて離婚状を出さなければならなくなる可能性が高い。

救出を指揮したカハナさんによると、今は離婚することをすすめており、最終的にはイスラエルに住むことになりそうだとのこと。

www.timesofisrael.com/footage-shows-afghanistans-last-jews-perilous-escape-from-kabul/

<アフガニスタン女子サッカーチームを救出したのはアメリカ人超正統派ユダヤ教徒>

ラビ・モシェ・マルガレッテン

ユダヤ教超正統派というと、イスラエル政府の生活保護を受けている貧しい人々のイメージがあるかもしれない。

しかし、アメリカにはビジネスで成功している超正統派もいる。モティ・カハナさんの救出事業を助けているのは、そんな超正統派の一人が、モシェ・マルガレッテンさんである。

マルガレッテンさんの支援で、カハナさんは、イエメンからユダヤ人を、また、シリア難民の脱出も助けている。活動の対象はユダヤ人だけでなく、だれでも脱出しなければ殺されるという立場に立たされている人すべてということである。

www.timesofisrael.com/stuck-abroad-philanthropist-hatches-a-modern-exodus-to-bring-israelis-back-home/

アメリカ軍の撤退で、アフガニスタン情勢が危なくなってくると、カハナさんは、アフガニスタンにチームを派遣し、最後のユダヤ人といわれたシモントーブさんに脱出の申し入れを行った。しかし、当初、シモントーブさんはこれを断った。

しかし、そのまま空で戻るのはあまりにももったいない。そこで、カハナさんは、脱出を希望する大勢のアフガニスタン人女性の救出を思いつく。マルガレッテンさんに聞くと、すぐに賛成し、10時間後には、その費用8万ドル(約900万円)を調達した。献金したのは、アメリカの超正統派コミュニティである。

Afghan female soccer players compete in a match at the Afghanistan Football Federation (AFF) stadium in Kabul, Friday, Dec. 6, 2013. Twelve teams played in Kabul with players to be selected for the country’s national women’s soccer team.(AP Photo/Rahmat Gul)

この救出で、出国できたのは、女子サッカー選手4人と、判事と検察官とその家族の計23人。その後さらに23人を救出している。

アメリカの超正統派ユダヤ教徒たちの献金は、脱出した人々の今後の生活のためにも使われるという。この救出劇はアメリカがまだ撤退を完了する前の8月26日のことであった。

救出された選手の一人、カリーダ・ポパルさんは、カハナさんの会社にいのちを助けてくれたと感謝をツイッターにあげている。しかし、脱出した人々の不安は、その喜びを上回っていることが、後のポパルさんの投稿でも見えてきているという。

こうした脱出後の現状も徐々に明らかになり始めている。またお伝えしていきたい。

www.timesofisrael.com/afghanistans-last-jews-would-be-jewish-rescuers-save-afghan-women-soccer-team/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。