イスラエルがシリア領内で空爆か 2013.1.31

29日夜から、レバノン領内に12機のイスラエルの戦闘機が侵入したとの情報があったが、翌30日早朝、イスラエル空軍がシリアからレバノンのヒズボラに向かったとみられる武器輸送トラックの一団を、シリア領内で、空爆したとアメリカ情報筋などが伝えた。

トラックの一団が運んでいたのは、ロシア製最新の地対空ミサイルSA-17。もしこれがヒズボラの手に渡れば、イスラエルの戦闘機を撃ち落とす能力を備える事になり、イスラエルとヒズボラの軍事力の関係が逆転する可能性があった。

<空爆したのはダマスカス近郊の化学兵器工場?>

ところが、30日夜になり、シリア政府がイスラエルが攻撃したのは、武器輸送のトラックではなく、ダマスカス北西のジャマラヤにある科学研究センターだったと発表。攻撃は30日01:30。建物が破壊され、2人死亡、負傷者5人と伝えた。

ジャマラヤはヘルモン山のすぐ近くで、確かに化学兵器が保管されているとみられる地域である。シリアの発表によると、イスラエルの戦闘機がヘルモン山の方角からレーダー網をかいくぐってシリアへ侵入、空爆後、同じ経路で帰っていったという。

イスラエルが、シリアの化学兵器がヒズボラに引き渡されようとするのを空爆で阻止した可能性もある。

この一連のことについて、イスラエルからの正式な発表はない。

<シリア・ヒズボラからイスラエルへの反撃はあるか?>

今回の攻撃はシリア政府に対して、「イスラエルは、ヒズボラに化学兵器を含む武器を引き渡すことは断じて容認しない」との明確なメッセージとなった。シリアもイスラエルと争う余裕はないと思われるので、反撃の可能性は低いとも分析されている。

しかし、これに先立ち、イランが「シリアへのいかなる攻撃もイランに対する攻撃とみなして、反撃する。」と言っており、油断はできない。

イスラエルもハイファ近郊にアイアンドーム(迎撃ミサイル)2基を配備したところで、イランのバックアップを受けるヒズボラの反撃に備えたとも受け取れる。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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