WZO(世界シオニスト機構)会議:建国75周年で世界のユダヤ人代表結集 2023.5.2

世界シオニスト機構会議

建国75周年を記念して、WZO(世界シオニスト組織)は、Extraordinary Congress(驚くべき会議)と称する3日間のイベントをエルサレムの国際会議場で行った。参加者約2000人の4分の3はイスラエル人で、4分の1は海外からのユダヤ人であった。

*世界シオニスト機構(World Zionist Organization)

世界シオニスト機構は、1897年8月に、スイスのバーゼルで、テオドール・ヘルツエルの呼びかけによって始まった第一回シオニスト会議に始まる会議である。以来、今年は38回目。

創設当時当時はまだオスマントルコの支配下にあったパレスチナ地方に、ユダヤ人の国を立ち上げることを目標として立ち上げられた団体である。経済面、病院、電力など様々な領域を担当する組織が立ち上げられていった。

1929年には、ユダヤ機関(Jewish Agency)が、WZOの運営を行う組織として立ち上げられた。1948年にイスラエルが独立すると、イスラエルを強化するとともに、海外にいるユダヤ人が帰還する助けも行っている。ユダヤ人の国イスラエルとをつなぎ、ユダヤ人の存在を可能にしている団体といえる。

その内容については、反ユダヤ主義の悪化と次世代育成が必要という危機感の共有がほとんどであった。クリスチャンの集会では、成果や良いこと、ポジティブなことが語られるのとは正反対のイメージである。特に南アフリカでは、反ユダヤ主義が世界で最も露骨であるらしく、ユダヤ人人口は、イスラエルに移住するなどして、急速に減少しているという。

しかし、それで空気が落ち込むことはなく、「国がなければならない」「アムイスラエルハイ(イスラエルの民は生きる)」ということへの覚悟と危機感を共有しつつ、ではどのように協力していくのかという前向きな結果になっていたのが印象的であった。

興味深かったのは、世界中のユダヤ人学校に、イスラエルからの教師を派遣するという点である。イスラエルという国を次世代に伝え、そのアイデンティティを共有してもらい、最終目標はイスラエルに移住してもらうということである。

その教師の育成などについても詳細に話し合われていた。そうしたことを話し合うのは、大人たちである。

世界シオニスト会議ユースグループ

今回の会議では、イスラエルと世界から14のシオニストユースグループから約2000人の若いユダヤ人たち(中高生・大学生)が集まり、彼らだけのカンファレンスも行われた。

このカンファレンスに参加したが、最初の1時間ぐらい、コンピューターを使ったクイズ大会で、全世界から来たグループが、キャアキャアいいながら正解を競っていた。しかし、問題はかなり底でベルであったので、中には、豪快に寝ていることを表明している者や、途中で出ていく者も少なくなかった。実際のところ、なかなか退屈な1時間であった。

その後、世界中の若者たちとイスラエルの若者たちが、グループに分かれ、与えられた課題を論議するというイベントが行われた。グループにはあらゆる地域、種類のユースグループがごちゃまぜになっていた。

主催者に聞くと、趣旨は、各地に知り合いを作ることだという。たとえば、イスラエルの若者で近くロンドンへ行く人がいるが、このイベントを通じて、ロンドンに知り合いができたといった感じである。

ユダヤ人たちのコミュニケーション、ネットワークづくりということである。

ユダヤ機関敷地内でのイベント

エルサレムにあるユダヤ機関の敷地内でもイベントが行われ、ヘルツォグ大統領がメッセージを語った他、音楽パフォーマンスの他、20:20ぐらいから、壁全体にユダヤ人の歴史がまとめられたクリップのパフォーマンスがあった。

最後はDNAが続く様子でしめくくられ、ユダヤ人が時代を超えて続いていくことが表現されていて感動した。

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石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。