続報:負傷の警察官2人死亡 2017.7.14

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写真出展:Ynet news

14日朝発生したライオン門、神殿の丘でのテロで、3人のテロリストに撃たれて負傷し、病院に搬送されていた国境警備隊員(警察)2人が死亡した。

1人は、カミール・シャナンさん(22)写真左と、ハアイル・サタウィさん(30)。サタウィさんには、妻と生まれて3週間の息子がいた。2人とも、イスラエル北部在住のドルーズだった。2人の葬儀はそれぞれの出身地で、早くも今日の午後に行われる。

www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4989180,00.html

*ドルース(ゴラン高原以外に在住):イスラム教からの分派として始まった独自の宗教。イスラムからは異端として嫌われているが、イスラエルには忠実で、兵役も務める。ただし、ゴラン高原在住のドルーズは、一般的にシリアに忠実であることから、イスラエルには反抗的。

なお、ナイフで刺された一人(39)は、軽症で今も治療中。

<神殿の丘、旧市街も閉鎖>

イスラエルは、現在も、神殿の丘への入り口を全部閉鎖。旧市街全体への入り口も全て閉鎖して、治安維持を強化している。

イスラム礼拝日の金曜に神殿の丘へ入場できないということで、暴動も懸念されたが、閉鎖開始が早朝であったことや、正午の祈りでは、暑すぎることもあってか、幸い、小競り合いぐらいで、今の所、大きな暴動にはなっていない。

今回金曜のイスラムの礼拝日にもかかわらず、ネタニヤフ首相が、あえて神殿の丘の閉鎖を決めたのは、まだ中に武器があると懸念されたからである。現在もまだ、大勢の治安部隊が神殿の丘の中をくまなく捜索している。

事件の後、ネタニヤフ首相は、リーバーマン防衛相や、エルダン国内治安維持相、警察長官らと治安ミーティングを行い、テロ行為を強く非難する声明を出した。

エルダン国内治安維持相は、(イスラエルの警察は、事件発生時、神殿の丘の外におり)”現状維持”を破っていなかった。今後も現状維持を変えるつもりはないないと強調。こういう事態になったのは、(イスラエルのせいではなく)、パレスチナ自治政府がテロを扇動するからだと訴えた。

*現状維持とは、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府で合意している神殿の丘に関する様々な取り決めのこと

<犯人はイスラエル国籍のアラブ人>

今回、テロをおこし、治安部隊に神殿の丘で射殺された犯人ら3人は、イスラエル北部ウム・アル・ファハン出身のイスラエル国籍アラブ人(29歳、19歳、19歳)と発表された。

射殺されたいきさつだが、映像によると、いったん警察に取り押さえられたところ、再び立って逃げようとした時に射殺されたようである。

3人にテロの前科はなかったが、このうち2人は、犯行に及ぶ前日、神殿の丘の黄金のドームを背景に、「明日のいまごろ、我々はもっといい笑顔になっている。神(アラー)に感謝する。それで十分。」と言っている映像をアップしていた。

3人が、西岸地区や東エルサレムのパレスチナ人ではなく、イスラエル国籍のアラブ人であること、また武器があるはずのない神殿の丘から、本格的な銃火器を持ち出していたという事実から、もしかしたら国内に、大きなテロ組織を抱えている可能性も懸念されている。

警察のスポークスマンによると、治安部隊は3人の出身地ウム・アル・ファハンも捜索している。

<ネタニヤフ首相とアッバス議長が会話>

ファタハ(アッバス議長所属)は、イスラエルが神殿の丘を閉鎖すると発表した後に、イスラム教徒に対し、フェイスブックにて、「神殿の丘に行って祈れ。聖なる地をユダヤに変えようとするイスラエルの包囲を砕け。」と書き込んだ。

ハマスの指導者の一人は、犯行を賞賛し、「アル・アクサでの衝突はイスラム諸国とパレスチナ人にとっての勲章だ。これは、占領に対する自然な反応であって、テロではなく、抵抗運動だ。」と同じくフェイスブックに書き込んだ。

こうした状況の中、ネタニヤフ首相とアッバス議長が、午後、異例にも(電話で?)話し合いを行った。ネタニヤフ首相はアッバス議長に、扇動をやめるよう要請。アッバス議長は、テロ行為を非難するとともに、神殿の丘を開放するよう、要請したもようである。

www.jpost.com/Israel-News/Fatah-calls-on-Palestinians-to-break-Israeli-siege-at-Temple-Mount-499702

<ベツレヘムでも衝突:パレスチナ人1人死亡>

パレスチナメディア・マアンによると、エルサレムでの事件が発生していた同じころ、ベツレヘムでもイスラエル軍とパレスチナ人らの衝突があった。

それによると、ベツレヘムの難民キャンプで、イスラエル軍の捜索が入り、パレスチナ人らが手榴弾のようなものかとも思われる爆発物を投げてきたため、実弾による紛争になった。この時のイスラエル軍の発砲で、バラア・ハマムダさん(18)が死亡した。

しかし、こういう紛争は珍しいことではなく、エルサレムの事件と、直接の関連は指摘されていない。

www.maannews.com/Content.aspx?id=778073

今後、この問題がどうおちついていくかはまだ不明で、大きな暴動にひろがっていく可能性はまだ十分残されている。

<石のひとりごと>

エルサレムの神殿の丘で人間同士が、銃で殺し合いをする。その後、重装備の治安部隊が大勢入って、神殿の丘の内部に武器が残されていないかくまなく捜査している。

この場所は、今は神殿こそないが、かつて主が「わたしの目とわたしの心は、いつもそこにある。(第一列王記9:3)」と宣言した場所である。主はどのように、今日のこの出来事をみておられたのだろうか・・・。まもなく、安息日がはじまるが、大勢の治安部隊は、今週末休むこともない。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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