ハヌカ2023:イスラエルにとっては現実問題 2023.12.8

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エルサレム:嘆きの壁の様子

12月7日、エルサレムの嘆きの壁では、アシュケナジー、スファラディのチーフラビと、嘆きの壁ラビ、ネタニヤフ首相が、ハヌカ第一日目のろうそくを、ハヌキアに点灯した。以下は、嘆きの壁の様子。21分ぐらいから旧市街の通りの様子もみられる。

この日、極右政治家たちが、神殿の丘へ上がる計画にしていたが、さすがに当局がこれを阻止したもようである。右翼団体のマーチも自粛とされている。

その代わりかどうか、今年ネタニヤフ首相は妻のサラさんを伴い、極右政党のベングビル氏夫妻と治安関係者を伴って、嘆きの壁でハヌカ第一日目のろうそくをともした。これから毎日15日まで1本ずつ点される。

ネタニヤフ首相:私たちは私たちのマカビーの時代にいる

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ネタニヤフ首相は、「2000年前にマカビー一家が神殿を悪の手から解放し、聖め、ユダヤ人主権を回復した。ユダヤ人の伝統と信仰、その人々をイスラエルに回復させたのだ。当時の戦いは、この地上からユダヤ人を消し去ろうとする悪の力との戦いだった。

今、私たちも私たち自身のマカビーの時代に立っている。地上からユダヤ人とその国を消し去ろうとする悪の力と戦っている。同じように必ず勝つという思いと、犠牲の中で戦っている。」と語った。そして、特に戦闘で命を落としている兵士たち(後述するが、特にガザで息子さんを失ったアイセンコット元IDF参謀総長夫妻)や、警察官たちへの敬意を表明した。

ハヌカの1本目を点灯するにあたり、「今回のハヌカは、いかに悲しみに満ちたものであっても、このろうそくの光が、消えることはないと覚えよう。」と語った。

嘆きの壁には、今もまだ人質になっている人々を覚える138個のろうそくと写真が設置されている。このろうそくにも火がともされた。

*ハヌカの時代(奇跡はあると覚える)

紀元前2世紀当時、エルサレムは、ギリシャ帝国の時代、セレウコス朝(膨大なギリシャの中のシリア地域)の暴君、アンティオカス・エピファネス王に支配されていた。

エピファネス王は、神殿をユダヤ人の前で意図的に汚してゼウス像を置き、ユダヤ人にはあえて豚を食べることを強要するなど、まさにユダヤ人とその信仰を迫害した王であった。

この強大な敵であり、悪の勢力をBC165年にマカビー一家、父親と5人の息子たちで解放し、神殿を聖めなおしたこと。その時、神殿用の最も聖なるオリーブオイルは1日分しかなかったのに、8日燃え続けたという伝説が残っている。

このためこのから8日間は、7枝のメノラーではなく、9枝のハヌキアと使う。真ん中の1本は点灯用である。

エルサレム市内の様子

戦時中で旅行者が来なくなる中、今年は、ベツレヘムも、クリスマスのイベントの中止を発表している。経済的にはかりしれない打撃を受けているエルサレムだが、サイレンは稀にしかなっておらず、人々は日常生活を続けている。

ハヌカに食べるのが揚げドーナツ。いろいろな種類があって超美味。今年も町の彩になっているだろうか。以下はユーチューブでみつけた今年店頭にならんでいるスフガニヨットたち。

www.youtube.com/shorts/0Xl7O3QrznI

以下は、6日前とされるマハネイヤフダの様子。

以下は5日前とされるエルサレムの新市街の昼間の様子。

テルアビブ:人質138人の家族が共にハヌカのろうそくに点火

テルアビブ、エルサレムでは、昨日日中、まだ解放されていない人質を覚える
テルアビブの人質広場と命名されているテルアビブ美術館前広場では、まだガザで人質になっている人々の家族や友人たちが集まって、ハヌカの1本目のろうそくをともした。

安息日のように138人分のテーブルが用意され、それぞれのろうそくをともしていった。イベントの中では、人質だったが解放されたアミット・シャニーさん(16)が、人質の解放のために働いていることに感謝を述べるとともに、「最後の一人までが戻ってくるまで、戦い続けなければならない。」と語った。

www.timesofisrael.com/hostages-families-light-menorahs-in-tel-aviv-troops-in-gaza-mark-start-of-hanukkah/

以下はイスラエル外務省がFBで発進しているもので、イスラエル人たちが皆、自分にできることで奉仕して支え合っている様子。

ガザ戦場でもイスラエル軍兵士たちがハヌカ

以下は、ガザ内部の兵士たちが、ガザで最初といいながらハヌキアを設置する様子。

別の兵士は、経験した奇跡をシェアしていた。それによると、ガザでイスラエル軍が、兵士たちが休息できる安全地帯としていたキャンプの下で、ハマスがトンネルを掘っているという情報が入った。そこで、イスラエル軍は静かにそのキャンプから退去して様子を見ていたという。

数日後、ハマスが出てきて銃撃になったが、すぐに、巨大な爆発が起きて、それが陥没して真下にあった巨大な地下トンネルシステムも破壊されたという。最初の情報をキャッチできたことがまさに奇跡であった。

話している兵士は、「今は、キスレブの月、ハヌカの時にふさわしい奇跡だった。神の奇跡は確かに今でもある。これは私たちだけではなく、ユダヤ人全体への奇跡だ。」と語っている。

石のひとりごと

非常に難しいのだが、神がガザの罪なき人よりユダヤ人を優遇しているというのではない。ユダヤ人は苦しむことのために選ばれたと言ってもいいぐらいの歴史を歩んでいる。その中で、神は彼らを決して忘れない、捨て去らないというのが、人類史のパターンなのである。そのことから、我々人類が、この天地創造の神が確かにおられることを知るということなのである。

したがって、その彼らを地上から抹消しようとするハマスは、結局のところ、その目標は達成できるものではないということと、最終的には、その神を敵に回すことになるということである。ガザの人々が、本当にハマスから解放されることを祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。