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黒焦げになったエルサレムの山々
15日、日曜日に発生したエルサレムの山火事。月曜朝にいったん、鎮火に向かい、精神病院から避難途中に行方不明になった2人も発見されたと伝えられていた。ところが、午後に再び強風で火が盛り返し、エルサレム方面へと延焼が進みはじめた。
その後、出動した消防隊は200部隊(1500人)、消防航空機は20機出動し、上空から19万トンの消火剤を散布した。イスラエルからの応援要請に応じ、大規模山火事を鎮火させたばかりのギリシャなどからも応援がかけつけた。
パレスチナ自治政府も応援の消防隊を派遣。ラピード外相、ガンツ防衛相は、これをそれぞれのツイッターで報告。パレスチナ人への感謝を表明した。
www.timesofisrael.com/palestinian-firefighters-help-israel-battle-jerusalem-area-blazes/
火曜朝になり、ようやく炎をコントロールできるまでに鎮火し、避難住民も家にもどることができている。しかし、焼失したエリアは、6200エーカー(25キロ平方:甲子園球場1100個分)で、2010年のカルメル山大規模火災の規模を超えていることがわかった。
これまで史上最悪と言われていた1995年の山火事よりも大きく、イスラエル史上最悪の山火事と記録された。
エルサレムの山は、カルメル山と違って、自然の森がほとんどである。それが広範囲に焼失したので、この先どう森が復活していくのか、はたして復活できるのかが不明だという。
焼失したら何ものこらない松の木が多いので、回復には時間がかかると懸念される。また、動物生態系への被害も懸念されている。
www.timesofisrael.com/ecologists-worry-over-ecosystems-recovery-after-huge-jerusalem-area-blaze/
ハラリ・ハープ全焼
人々への被害は、先に、ワイナリーが全焼していたのに続いて、家屋も複数焼失し、ラマット・ラジエルのハラリ・ハープが全焼してしまった。
ハラリ・ハープは、ダビデ王が使っていた形のハーブや、神殿で使われていたと思われるハープなどを復元、製造していたギャラリーである。この山火事で、この40年の間に製造したハープがすべて焼失している。
ハラリさんによると、突然炎が150メートルほどにまで迫っているのが見えたため、妻とともに、なにも持たずに脱出したという。ハラリ・ハープはかなり森林の山中に位置していたのである。ハラリさんによると、幸い、ギャラリーの両サイドが燃えていなかったので、逃げられたが、ギャラリーそのものは炎の直撃下にあったとのこと。
エルサレムの山での森林火災は珍しいことではない。ハラリ・ハープは、あまりにも森林の中にあったため、どの火災保険にも加入できなかった。被害者の補償は、首相府とユダ地域委員会が行なっていくとのこと。
無傷だったキブツ・ツォバの対策
この大きな被害の中で、地域を守り抜いたキブツ(集団農場)があった。このキブツでは、1990年の山火事の後、キブツ周辺の木々や地形を調査し、炎がキブツに入り込む境界線を策定。それにそってパイプラインを設置した。
山火事が発生すると、まだ火が遠くにあるうちに、そこから大量の水を周囲の地面と森林植物に吹きかけて、炎が近づかないようにするシステムを構築していた。今回の山火事では、住民は避難したが、家屋などの損傷は、最小限であったという。
これを見て周辺地域がこの技術を取り入れる動きがあるとのこと。
www.timesofisrael.com/nothing-was-left-residents-return-to-communities-hit-by-jerusalem-fire/