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エスカレートする暴力の応酬
ついにイスラエル側に死者が2人出た。ガザでは、ハマスとイスラム聖戦の指導者15人が死亡したと主張している。イスラエル軍はガザとの国境に追加の軍を配置。事態は、予想以上に厳しくなってきた。
11日午後1時半すぎ、アシュドドとアシュケロンに向かって、ガザからロケット弾が40発発射された。アイアンドーム迎撃ミサイルが、住宅地に着弾しそうになったものは撃墜したが、正確には不明。一気に40発も発射したのは、おそらくアイアンドームの能力を超えるためと見られる。
着弾したのはアシュケロンでは、誰もいない学校校舎、ビル2棟、アシュドドでは、ビル1棟であった。アシュケロンで、12歳の少女含む3人が、破片で負傷した。これに先立つ攻撃で被害を受けた家族については、40代の両親と2人の子供(8歳、11歳)が負傷し、父親が重症とのこと。
www.timesofisrael.com/2-killed-by-rockets-in-ashkelon-amid-massive-barrages-from-gaza/
これに対し、イスラエル軍は、ガザ130箇所以上を空爆。これにより、ガザでは子供を含む28人がこれまでに死亡。激しい破壊の後と、救急搬送される人々の様子が伝えられている。しかし、ハマスなどが発射したロケット弾のうち50発は、イスラエルまで飛ばずにガザ内部に着弾したという。それによる犠牲者もいると、ロイターは伝えている。
また、空爆がアパートに直撃し、イスラム聖戦の指導者2人が死亡した。1人は、2019年にイスラエルの追跡暗殺で殺されたバハ・アブーアタの兄弟、ハッサン・アブーアタの兄弟であった。後に、イスラエル軍は、ハマスとイスラム聖戦の指導者15人が死亡したと伝えている。
www.aljazeera.com/news/2021/5/10/israeli-forces-raid-al-aqsa-compound-live
イスラエル人2人死亡:アシュケロン住民の25%は自宅にシェルターなし
これを受けて、ガザからは、断続的なロケット弾攻撃が続いた。特にアシュケロンでは、5分間に137発という文字通りロケット弾の雨となった。これにより、多数のアパートや民家が駐車中の車が破損。ある家は、屋根がまるまる吹っ飛んでいる。
この中で、女性2人(60代と80代)が死亡。95人ほどが負傷し、2人は中等度、2人が重症となっている。重症者の1人は80歳の女性で、インド人介護者ソニア・サントッシュさん(32)と住んでいた自宅にロケット弾が直撃。ソニアさんは死亡が確認されている。この家には防護強化室もシェルターもなかったという。
アシュケロン市によると、約15万人いる住民の4分の1は、自宅にシェルターを持っておらず、走って1分先の公共シェルターに走るしかない。介護の必要な80歳には無理である。また、ロケット弾(細かい鉄の破片が飛び散る)の下では、外にいるというだけ危険度は倍増する。
今回は特に、アイアンドームが対処しきれないほどのロケット弾の数であるため、すり抜けてくるロケット弾があることと、アイアンドームが撃墜したロケット弾の破片が市内に落下して、被害をもたらしている可能性もあるとのこと。
イスラエル軍予備役5000人招集
ガザからのロケット弾が止まらないことを受けて、ガンツ国防相は、迎撃ミサイルのキャパを拡大するため、予備役5000人を招集。病院の準備や各地の公共シェルター準備を指示した。