西岸地区アップデート 2019.2.2

1)入植者とパレスチナ人の衝突続く

先週26日(土)午後、ラマラ北部で、アデイ・エルのユダヤ人入植者たちとパレスチナ人の間で銃撃戦となり、パレスチナ人1人が死亡。9人が負傷した。イスラエル軍と国境警備隊がこれをが両者を引き離して、沈静化させた。

パレスチナ側の情報によると、ユダヤ人入植者たちが、パレスチナ人の村アル・ムガヤルに侵入してきたことから、これを追い出そうとしたパレスチナ人らと銃撃戦にまでエスカレーとしたもようである。

一方で、アデイ・エルの入植者たちによると、パレスチナ人3人が、ユダヤ人少年を捉えて暴行しようとした際、少年手をナイフで刺すという事件が発生。入植者たちは、彼らから身を守るために、銃を使用せざるをえなかったと主張している。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/258162

パレスチナ人を撃ったのが、入植者であったか、かけつけたイスラエル軍であったかは不明。イスラエル軍は調査を行っているが、1週間経った今もまだ発表はない。

この一件で死亡したパレスチナ人は、ハムディ・タレブ・ナアサン(38)。4人の幼い子供の父親であった。しかし、これについては、後の調べで、ハムディが、イスラエルの刑務所を出入りしていたテロリストであったことが判明している。

30日には、エルサレム近郊の検問所で、パレスチナ人の10代の少女がイスラエル兵を刺そうとして、銃撃され死亡する事件も発生した。後に少女はラマラの高校に通うサマ・ズヘア・ムバラク(16)と判明。動機はまだわかっていない。

I24によると、こうしたイスラエル治安部隊をナイフで襲う一匹狼的なテロは、今も時々発生しているという。パレスチナ人の中には、個人的な背景から、イスラエル兵を襲って逆に射殺されることを自殺の手段に使うことがあることも明らかになっている。

www.i24news.tv/en/news/israel/194265-190130-palestinian-woman-neutralized-by-israeli-forces-after-attempted-checkpoint-stabbing

東エルサレム、西岸地区でも、日常は表向き、平穏に流れている。しかし、ニュースなどの面に出て来ない中で、パレスチナ人とイスラエル軍の衝突は、ところどころで発生している。

2)ヘブロンの国際団体を追放へ:ネタニヤフ首相

1995年、ヘブロンでは、モスクにおけるユダヤ人入植者による乱射事件で、パレスチナ人29人が死亡した事件があり、その後、ヘブロンをイスラエル、パレスチナで分けることとなった。ヘブロンは、双方にとって聖地である父アブラハムが葬られたとされるマクペラの洞窟がある。

1997年、イスラエルがヘブロンの80%から撤退して、その部分はパレスチナ人居住区となり、残りの20%はイスラエル人が住むことで、イスラエル(ネタニヤフ首相)と、パレスチナ自治政府(故アラファト議長)が合意した。これをヘブロン合意という。

これにより、マクペラの洞窟は、2つに分けられ、パレスチナ側とイスラエル側に分かれるという、いわば父の墓の前で、兄弟が争う形になったわけである。

以来、TIPH(Temporally International Presence in Hebron)という、非武装の国際監視団体(64人)が、両者の分離を監視することになった。TIPHに参加している国は、イタリア、ノルウェー、スェーデン、トルコとなっている。

1月28日、ネタニヤフ首相は、TIPHの駐留延長を認めない方針を明らかにした。

TIPHは、イスラエル兵がパレスチナ人に暴力を振るうなどのレポートをしてきたが、実際には、イスラエル軍、警察の公務執行妨害をしたり、入植者との争いを促したり、イスラエルを非難する種を探している極左団体を支援しているとの報告があがっている。

www.jpost.com/Breaking-News/Netanyahu-ends-mandate-of-international-observers-in-Hebron-578958

これについては、ネタニヤフ首相が右派の指示をとりつけるための一つだと評する記事もある。

3)自治政府ハムダラ首相辞任

パレスチナ自治政府のハムダラ首相が辞表を提出。受理された。これにより、パレスチナ自治政府では、新しい組閣をしなければならないが、時期政府に、PFLPなど、PLO以外の組織が加わらない見通しで、そうなると、ますますハマスとの距離があいて、パレスチナ人の分裂がさらに深くなると懸念されている。

www.jpost.com/Breaking-News/Palestinian-prime-minister-tenders-resignation-govts-to-Abbas-579047

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。