西岸地区でパレスチナ人を襲撃する極右過激ユダヤ人入植者たち:米英が対象入植者たちへの制裁発動 2024.2.13

Israeli soldiers restrain Jewish settlers after they stormed the Palestinian West Bank village of Dayr Sharaf following a terror attack in which an Israeli driver was shot dead, November 2, 2023. (Jaafar Ashtiyeh/AFP)

過激ユダヤ人入植者たちのパレスチナ人襲撃事件再発

ヨルダンのアブドラ国王が表明しているように、西岸地区には、過激右派のユダヤ人たちが、パレスチナ人の村を襲撃し、放火するなどの深刻な暴力を続けている。このため一部のパレスチナ人は非難を余儀なくされている。

昨日12日、西岸地区北部で、ユダヤ人入植者たちが、警戒されている入植地イズハルから、ナブルスの南にあるパレスチナ人の村、アシラ・アルキブリアになだれこみ、車や家屋ぬ放火した上、銃撃もして、パレスチナ人男性(20)が腹部に、16歳が手に銃撃をうけるという事件が発生した。

こうした事件は、これが最初ではない。

西岸地区の強硬右派ユダヤ教徒たちは、ヨルダン川西岸地区は、聖書の神がイスラエル人に約束された土地だとして、そこに住むパレスチナ人を追い出そうとする動きが、続いているのである。無論、入植者たち全員が過激なのではなく、一部である。

しかし、現ネタニヤフ政権は強硬右派であり、極右政党の党首ベン・グビル氏が警察庁を管轄する国家治安省の大臣、宗教シオニスト党のスモトリッチ氏が経済相と重要ポストに閣僚入りしていることが国際社会からは懸念の目でみられている。

実際、昨年度、西岸地区の入植地とされる地域に住むイスラエル人(ユダヤ人)の数は3%増えていたという。

西岸地区のステータスは、イスラエル領土としてはまだ認められていないので、これは違法行為ともとられることになる。それがパレスチナ人へ暴力を振るうとなればなおさらのことである。

このため、現ネタニヤフ政権は、危険な入植者たちを十分とりしまっていないとして、国際社会からは、非難される傾向にある。

アメリカ政府は、先月、入植地に住む過激なユダヤ人3人をテロリストとして、制裁を発動すると発表した。イスラエル政府はこれに不満を表明していた。

しかし、上記事件を受け、イギリス政府(キャメロン英外相)も、アメリカが制裁を発動している3人に、もう一人加えて、4人の強硬右派ユダヤ人入植者への制裁を発動すると発表した。

www.timesofisrael.com/uk-slaps-sanctions-on-west-bank-settlers-for-egregious-violence-following-us-move/

こうした強硬右派の動きは、国際社会のイスラエルのガザでの戦闘への見方にも悪影響になると懸念される。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。