イラク北部では、ISISが、30ものアッシリア・クリスチャンの町を襲撃。一時90人が捕虜になったと伝えられていたが、実際には300人近い人々(263人との報道もあり)が捕虜になっているもようである。逃亡している人々は数千人にのぼるとみられる。
これを受けて、有志軍が、付近のISIS拠点を空爆したが、それ以上の動きは不明。
先にエジプトのコプト・クリスチャン21人が殺害されたこともあり、捕虜になった人々の生死が懸念されていたが、今日になり、ISISが一部の捕虜を殺害したとの情報も出始めている。
BBCによると、International Law and Human Rights (IILHR)国際法・人権監視団体、ISISは、イラク国内の少数派を絶滅させようとしていると警告している。
*アッシリア・クリスチャン
アッシリア正教会ともよばれ、東方教会の一つ。アッシリア人はアラム語を話す少数キリスト今日民族で、現地に7000年間住んでいる民族と言われる。
1914-1920年にオスマントルコから25万人の大虐殺を受けて逃亡。現在、イラク、シリア、イラン、トルコなどの他、アメリカや世界各国に散らばっている。全世界に330万人。イラクのアッシリア人は1987年には140万人いたが、現在は40万人(アルジャジーラ)
<武装するイラク・クリスチャン> http://america.aljazeera.com/articles/2015/2/26/on-the-brink-of-extinction-assyrian-christians-crowd-fund-an-army.html
アルジャジーラによると、イラクのモスル北部では、ISISの脅威に対応するため、クリスチャンの兵士からなる民兵組織NPU(ニネベ防衛隊)の訓練が始まっていた。
訓練しているのは、フリーのベテランアメリカ軍退役兵ら。今週、500人の訓練が終わり、来週から最前線に配置される。
こうした動きは、イラク軍があてにならないことと、世界もISIS対策に及び腰であることを受けて、草の根的に始まったもの。その危機感が正しかったことは、今回のISISの襲撃で証明されてしまったことになった。
NPUを支援しているのは、アッシリア・アメリカの協力団体。また、アメリカのバン・ダイク氏が自費12000ドルを出して協力していることで注目されるようになったという。
*バン・ダイク氏:1960年代、アメリカのワーナーブラザースの音楽家、プロデューサーで、ビーチボーイズのアルバム制作に関わったことで有名。
<UNESCO緊急記者会見:ISISが世界遺産を破壊>
ISISは、イラク領内モスルの博物館にある考古学的な重要な物品を破壊しているビデオを公開した。破壊されたのは、9BCのアッシリア帝国の遺産など。
これを受けてUNESCOが記者会見し、「ショックを受けている。」と怒りを表明した。その後、今後どのようにイラクの世界遺産を保護するかの対策会議が緊急に召集された。
<ISISの処刑人ジハード・ジョンの身元が明らかに> www.bbc.com/news/uk-31657281
後藤健二さんを含む多数の捕虜を処刑をするビデオに登場していた処刑人、”ジハード・ジョン”の身元が公開された。クエート生まれのイギリス人(20代半ば)で、西ロンドン在住の、ムハンマド・エムワディ。
BBCによると、アメリカとイギリスの対テロ対策部は、昨年9月にはすでにエムワディの身元を把握していたという。