戦死していた英雄のイド・ローゼンタール主席准尉 2023.12.4

家族より 30歳のころ(15年前)

イド・ローゼンタール主席准尉は、これまでからもすばらしい功績をいくつも積み上げており、IDFでは最上級の特殊部隊隊員だった。イスラエルでは、英雄の一人とされている。

イド准尉は、10月7日のハマス侵攻の際、まだ正規軍が来ていない朝8時、ヘリコプターの発進ができる基地にむかい、そこで、4人からなる特殊部隊に配属された。イド准尉たちは、襲撃に遭っているキブツ・べエリへと駆けつけた。

結果、まだうろついていたハマスと戦闘になった。その時、武装ハマス30人ほどが、キブツ・アルミ無に向かっているのが見えた。イド准尉らはこれを攻撃した。しかし、4対30である。10人ほどを殺したところで、イドさんも殺された。

20人ほどのハマスは、隠れて前に進まないまま、イドさんたちが連絡してやってきたIDFヘリコプター部隊に全員殺されたのだった。イドさんは死んだが、キブツ・アルミムは、守られた形である。

この他、遺体の破損が大きかったり、帰ってきた人質の証言などで、今になってから死者が明らかになって、連絡を受け取る家族がいる。10月7日の事件ば、終わったことではなく、イスラエル人にとってはまだまだ継続中の脅威である。

イドさんの葬儀には、550人が参列。家族は、イドさんが根っからの軍人であったと述べ、市民を守って死んだのだから、最高だと思うと語っている。

www.jpost.com/arab-israeli-conflict/gaza-news/article-775929

石のひとごと

NHKのブギウギは、ちょうど戦時中の日本を描いたドラマである。今日は、主人公の笠置きシズ子の弟六郎の戦死の知らせが、父親に届いたところだった。

あの笑顔がもうもどらないということを、いつになく、実感させられて涙が出た。

イスラエル人の親たち300人以上が今、この息子を送り出して帰ってこないという経験をしている。

今日はイスラエルの大学で働いている人が、徴兵された学生が、軍から少しの時間をもらって、大学での試験を受けに来ていたという。軍服姿で肩には銃を担いでいたとのこと終わったらすぐ軍に戻るのである。

もしかしたら死ぬかもしれないとは考えず、今やるべきことはやっておく。日常はできるだけ変えないのである。

しかし、こんなふうに、戦場に送り出して、ある日、突然に帰ってこない人がいるのである。イスラエル人はどこか覚悟しているのか、「私たちの順番が来た」とある戦死した兵士の家族が言っていた。これがイスラエルの日常なのである。

今戦場にいる兵士たちが、どうぞ無事で、またガザの子供たちを殺すような場面にも会わないように。1日も早く、悪が断ち切られて、戦争が終わるようにと祈る。

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。