山火事で焼失したハワイの楽園:地球沸騰化の始まりとグテーレス国連事務総長 2023.8.12

NYT

ハワイ史上最悪の山火事

テレビでも報じられているが、8日、ハワイのマウイ島、人口1万3000人の町、ラハイナを襲った山火事の炎は、海岸に続く町を焼き尽くした。現時点で80人の死者が確認されているが、犠牲者はまだ増える恐れがあるという。

その様相は、まるで激しい空爆を受けた戦場のようで、1900棟の建物が崩壊し、黒焦げになっている町にいのちの気配はまったくないという地獄図になっている。

この町は、1960年に津波で町を破壊された経験があるが、この時の死者は61人だった。このため、今回の災害は、ハワイ州史上最悪の災害となっている。

今回の災害は、熱風で乾燥しているところへ、接近していたハリケーンによる強風が原因となり、炎が煽られて町の通りを吹き抜けるように建物を焼き尽くした。

住民たちは、文字通り、あわててそのまま逃げたので、家も車もなにもかもを一瞬で失ったことになる。中には炎にせまられて、海に飛び込んだ人も多いという。

火が落ち着いた今、避難して生き延びた住民たちが、焼失した自宅に戻ることへの許可が出て、少しでも残っている財産をさがそうとしているが、あまりの様相に呆然としているようである。

*これについて、BBCによると、火が再び燃え上がる可能性があり、再度避難命令が出ているという。(日本時間12日17:30)

www.bbc.com/news/world-us-canada-66481977

ラハイナの町は、カメハメハ大王が最初の宮殿を建てた地として知られ、歴史のある楽園であった。

その宮殿にあったとされ、市民がその下で集ってきた、有名なバニヤンの木も真っ黒に焼け焦げてしまった。この木は、樹齢150年とも言われ、アメリカで最大のバニヤンの木と言われていたという。

3ヶ月前に建てられてから200年周年を記念したばかりのワイオラ教会も完全に焼失した。ワイオラ教会は、1823年に建てられ、一時はハワイ王室の教会であった。一方、カトリック教会の建物は奇跡的に焼け残ったとのこと。

バイデン大統領も、復興支援を約束している他、教会などでの支援活動も始まっているが、あまりにも急に、愛する家族を失った人や、これまでの人生のすべてを失った人、特に高齢の人々がこれからどうするのかと思うと、他人事には思えない気がする。

地球沸騰化の時代到来:グテーレス国連事務総長

この夏、世界は記録的な猛暑に覆われ、ハワイだけでなく、先月にはギリシャのエーゲ海ロードス島でも大規模な山火事が発生し、3万人以上が避難する事態となっていた。

一方で、中国では、今、大雨による洪水や土砂崩れが、発生しており、今月8日までに、5万9000棟が倒壊し、死者はわかっているだけで33人。129万人が被災したとされている。

www3.nhk.or.jp/news/html/20230809/k10014158501000.html

日本でも記録的な猛暑で、今は台風6号に続いて7号が本土に向かっているところである。

これらに先立つ先月27日、国連のグテーレス事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が始まった。」との厳しい認識を表明し、世界に警告を発していた。

www.bbc.com/japanese/66333742

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。