ラファのUNRWA倉庫空爆でハマス司令官含む5人死亡:イスラエルは支援物資を洪水のように搬入すると宣言 2024.3.14

スクリーンショットhttps://www.nytimes.com/2024/03/13/world/middleeast/rafah-gaza-aid-israel-unrwa.html

ラファのUNRWA倉庫攻撃でハマス司令官死亡

13日、イスラエルは、ガザ地区ラファのUNRWA(国連パレスチナ難民救済機構)の倉庫への攻撃を実施。ハマス司令官含む5人が死亡した。UNRWAによると、5人のうち1人はUNRWA職員だった。

イスラエル軍によると、死亡したハマス司令官は、モハンマド・アブ・ハスナで、イスラエル軍に関する情報収集と、作戦を担当していただけでなく、ガザ地区に搬入される支援物資を押収し、ハマスに流す働きを担当していた人物である。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/strike-on-unrwa-facility-in-rafah-took-out-hamas-commander-who-stole-aid-says-idf/

以下はまさにハスナを狙った空爆の様子。

UNRWAへの攻撃だったので、世界のメディアは一斉に、イスラエルを非難しているが、その背景にはこういう事情もあったということである。

*UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)

UNRWAについては、職員1万3000人の90%がガザ市民で、ハマスの影響下にあったことは否定できない事実。このうち数十人は、10月7日のイスラエル人虐殺に関わっていたことがわかっている。これを受けて、1月、国連は、14人をUNRWAから解雇した。

これを受けて、アメリカ、日本など、16か国がUNRWAへの支援を停止したが、ガザで飢餓が深刻化していることを受けて、カナダとスウェーデンが、UNRWAへの支援を再開したところである。

ガザで販売されている食料:貧民は買えない

in Rafah in the southern Gaza Strip, on March 5, 2024. (MOHAMMED ABED / AFP)

ガザ、特に北部では、現在も行われている戦闘が原因で、国連組織による支援物資が届かなくなっており、餓死者が出る事態になっている。その地域の実情が以下のNYTの記事に出ている。

人々は、市場に買いに行くが、お金がなく買えない。たとえば、小麦粉は戦前、500グラムが約40セント(70円)であったのに、今は約10ドル(1500円)である。長時間並んで、スープキッチンでもらう食料もかなり限られている。

1日1食が普通で、動物の飼料であった食材を食べたりしているという。

www.nytimes.com/interactive/2024/03/12/world/middleeast/gaza-hunger.html

イスラエルは、支援物資を洪水のように搬入すると宣言:問題は配布

イスラエルでは、強硬右派政治家たちや、一部の人質家族が、ガザへの食料搬入に反対している。しかし、国家の報道官たちは、ガザへの物資搬入は再現なく行うとしている。IDFハガリ報道官は、「洪水にように物資を搬入する」とまで」言っている。

実際、昨日新しいルートで6台のトラックが入った他、海運による搬入も始まろうとしている。しかし、問題はガザの中に入ってから、人々の手にわたるまでの配布だと、ハガリIDF報道官は語る。

日本でも地震の後、物資は搬入できても、そこからどう配布するかは問題になる。しかし、ガザの場合、配布前にハマスに横領されたり、積み上がったまま配布できていないところもある。イスラエルが搬入を止めているのではなく、配布が止まっているということも、世界は考慮しなければならない。

www.timesofisrael.com/liveblog-march-13-2024/

石のひとりごと

イスラエル人たちは、日本人の2倍以上食べているように思う。会議やイベントでは、必ず何か食べるものがおいてあり、いつでも食べれるようになっている場合が多い。歩きながら何か食べている人も多い。食べ物がない、ということが、大変に嫌いな人々ではないかと思う。

そこから考えると、ガザとは戦争をしているとはいえ、人質にはじまって、民間人たちが飢えているということに、耐え難い思いをしているのでないかと思う。

イスラエルが、ハマスは別として民間人に、物資を与えないということを武器にすると言われるが、それは国民性からしてもありえないと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。