ユーロビジョン2024の参加曲発表:イスラエルの苦しみを表現 2023.3.11

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ユーロビジョンは、欧州放送連合に加盟する放送局による、音楽コンテストである。イスラエルも参加し、優勝したこともある。そのユーロビジョンは今年は、5月8―12日に予定されている。

イスラエルは、当初。「オクトーバーレイン」という曲で応募したが、失格とされた。明らかのハマスの攻撃を思わせる曲で、政治的すぎるというのが理由である。

その後、イスラエルは参加するのかどうかと言われていたが、10日、参加するアーティストとその曲を発表した。タイトルは「ハリケーン」で、個人的な危機にある女性をモチーフにした曲である。

こちらも10月7日を意識しているのは間違いなく、「オクトーバーレイン」の歌詞の一部が残されているとのこと。

「毎日、私は正気を失ってしまう。この不思議な乗り物につかまりながら、嵐の中で踊っている。隠すものは何もない。・・・私はまだこのハリケーンで傷ついている。」

この歌を歌ってイスラエルを代表することになったエデン・ゴランさんは、「複雑な時の出場になる。国を代表して、わたしたちが感じていることすべて、国が経験していることのすべてを3分で、世界に伝えることができる。」と語っている。

www.timesofisrael.com/capping-weeks-of-uncertainty-israel-unveils-its-2024-eurovision-song-hurricane/

<石のひとりごと:最大の痛みを理解されないということ>

イスラエルとユダヤ人を見る時、その痛みをだれも理解しない、孤立するということの痛みを思わされる。

北部情勢の専門家で、ヒズボラ国境から9キロのところに住むサリット・セバディさんは、イスラエルはその存続をかけた戦いをしているのに、世界が私たちの痛みに関心を払わないというところに、特に深い落胆と痛みを語っていた。

イスラエル人たちは、10月7日の犠牲者にとどまらず、若い兵士が次々に命を落としている。しかし、世界はその人々のことは非難するだけで、彼らがどういう人々なのか、またその家族の想いには、まったく関心を示していないのである。「あなたがたは死んでも良いのだ」というメッセージが深いところから流れてくるのである。

この記事を書いている時、イスラエルの友人から以下のようなメッセージが入った。

“長女の幼稚園から一緒だった友人が戦死しました。これで彼女は2人の友人を亡くしています。長男も次女もそれぞれ1人、友人を亡くしました。もうこれ以上、イスラエルの将来の担い手を失いたくありません。“

イスラエルに住む人々の大きすぎる犠牲を思わされる。それでも、イスラエル人はなお戦わなければならない。同じ痛みを共有する中で、自然に一致せずにはいられないで戦っている。彼らの痛みを最大限に知っておられる主の慰めと、主にあるどんでん返しを期待して祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。