ポーランドがホロコースト関連法を修正 2018.6.30

数ヶ月前、「ポーランドの死の収容所(アウシュビッツなど)」という表現など、ホロコーストの責任がポーランドにもあるといった、または紛らわしい表現をした者には、3年を上限とする禁固刑に処すという法律が制定された件について。

イスラエル政府や、ホロコースト関連の専門家たちからは、「ホロコーストは明らかにナチスの責任ではあるし、多くのポーランド人がユダヤ人を助けたことは事実だが、ポーランドにまったく罪がないわけではない。この法案は、研究や言論の自由を奪うものだ。」として、懸念や批判が噴出していた。

アメリカも、この法案は、ポーランドとイスラエルの関係を悪化させるとして、イスラエルを支持して反対する立場を表明し、国際社会からもブーイングが出ていた。

実際、この法律によれば、今年のホロコースト記念日にポーランドで、「ポーランドは、ドイツの虐殺を可能にした」と演説したリブリン大統領も逮捕される可能性が出てくる。

この件について、27日、ポーランドが突然、この法律に修正を加えることを決定したというニュースが入ってきた。

禁固刑3年を上限にという罰則の部分が削除されるという。この法律の目標はたんにポーランドの威厳を守ることが目的であるとしている。

これを受けて、ネタニヤフ首相は、ポーランドの修正を歓迎すると発表している。

www.timesofisrael.com/poland-amends-controversial-holocaust-law-nixing-penalties/

<アメリカの圧力か>

アルーツ7が、ポーランド最大のメディアサイトOnetが伝えたところとして、報じたところによると、ポーランドのこの急展開の背後には、アメリカの圧力があったという。

トランプ政権は、この法律に修正を加えないなら、ポーランドのデュマ大統領とモラビエツキ首相のアメリカへの訪問は受け入れないと圧力をかけ、ワルシャワのアメリカ大使館も、修正しないなら、経済支援を保留にするといっていっていたもようである。

www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/248163

修正を受けて、アメリカも歓迎すると発表している。

イギリスからウイリアム王子が公式訪問し、かつポーランドがイスラエルの要請をくみとって問題の法案を軌道修正するなど、イスラエルはいつになく、国際社会で安定した地位を持ち始めているいう記事もある。

www.jpost.com/Israel-News/Navon-Israel-needs-to-recognize-its-power-and-leverage-561133

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。