イラン全土で反政府デモ:ロウハニ大統領はアメリカ・イスラエルを非難 2019.11.22

アメリカがシリアから撤退し、中東の勢力図が大きく変わり始めた。それに加えて、ソーシャルメディアの発展も伴って、中東では、再びアラブの春ではと言われるほど、反政府デモが、レバノン、イラクでも続いている。

イラクでは、10月1日から激しい反政府デモが続いている。すでに300人以上が死亡したと伝えられている。

www.bbc.com/news/world-middle-east-50440110

こうした中、イランでも、15日から石油価格が2倍になったことがきっかけとなり、全国各地で、反政府デモが始まり、警察との暴力的な衝突となっている。4日めの20日、アムネスティ人権監視団体が、これまでに、21都市で、計106人、最大200人が死亡したと発表した。

しかし、イラン政府は、死者が106人というのは偽装だとして反発。イランでは4日前からインターネットが遮断されているため、詳細を把握するのが困難になっている。21日、BBCによると、国内のコミュニケーションは可能だが、国外へのコミュニケーションは今も困難な状況が続いている。

www.bbc.com/news/technology-50490898

www.nytimes.com/2019/11/21/world/middleeast/iran-protests-internet.html

ロウハニ大統領は20日、石油価格を2倍にしたのは、アメリカの経済制裁で困窮している人々を救済するためだったと説明。デモはすでに沈静化させたと発表した。デモは、アメリカとシオニスト(イスラエル)がしかけたものだと非難した。

www.timesofisrael.com/iran-blames-deadly-unrest-on-outsiders-including-us-and-israel/

アメリカがデモをしかけたかどうかは不明だが、アメリカのポンペイオ国務長官は17日、イランのデモを支持すると表明。アメリカとイスラエルは、以前から、イラン人自身が、今のイスラム主義政党を打倒して、民主的な国にすることを望んでいると表明していたのであった。

www.timesofisrael.com/pompeo-says-us-is-with-iranian-protesters/

<石のひとりごと>

イランはこれからどうなっていくのか。イランの一般の人々は今何を望んでいるのだろうか。今のイスラム政権が打倒されることはあるのか。あったとしたらその後はどうなるだろうか。

イスラエルで政府が決まらないという状態の中、中東は混乱はどんどん緊張が進んでいる。しかも、どうなっていくのか、予測は本当にまったく不可能である。できるだけ、早く、正確にお知らせしたいと願っているが、追いつかないぐらいに目まぐるしく動いている。

今、中東におけるアメリカの存在感が小さくなるとともに、勢力的なバランスが崩れはじめている。この事態に終止符をうつような反キリストなるものが登場する舞台になりはじめているのではないかとの予感もさせられている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。