イスラム聖戦指揮官4人目暗殺に見るイスラエルの高い諜報能力 2023.5.11

A picture shows a building housing the flat (top floor) of an Islamic Jihad military leader, which was destroyed by an Israeli air strike in Khan Yunis, early on May 11, 2023. - Israel's army and Gaza militants traded heavy cross-border fire overnight, with at least 22 Palestinians killed over two days in the worst escalation of violence to hit the coastal territory in months. (Photo by SAID KHATIB / AFP)

死亡したイスラム聖戦指揮官4人目に関する情報が入っている。死亡したのは、アリ・ハッサン・ガリ。

暗殺された時、ガリは、写真のビルに他の2人のメンバーと隠れていたという。他の2人もともに死亡していた。攻撃は、みごとに、ガリたちがいたアパートのその階だけが破壊されていた。

これでガザでの死亡者数は25人となった。

その後ガザからは、8時間ぶりにロケット弾がまた発射されたが、10発程度で、対戦車砲との情報もある。ロケット弾がもう底をついたのか?

イスラエル側では、迎撃ミサイルの撃墜率は95%となっている。逃げる時に転倒して負傷とか、不安発作などで手当を受ける人はでているが、ロケット弾攻撃そのものによる負傷者は出ていない。

www.timesofisrael.com/israeli-airstrike-in-gaza-kills-commander-of-islamic-jihads-rocket-forces/

一方、Ynetによると、ガザ領内に落下した失敗のロケット弾で、ガザ市民が死亡している。最近の2発で死亡したのは、ラミ・シャディ・ハムダンさん(16)、アフマド・ライヤン・ムハンマド・アル・シャバキさん(51)、ライヤン・ビラル・モハンマド・アブダラ・ムドウク(10)、ヤザン・ファシ・エライヤン(16)

これらはイスラエル軍からの情報である。ガザの情報はイスラエル軍には筒抜けになっているかの様相である。なお、この人々を含め、9日に始まったイスラエルとガザとの戦闘で死亡した市民は、少なくとも10人とみられている。

停戦交渉について、Ynetがアルジャジーラの情報として伝えたところによると、その条件としてイスラエルがイスラム聖戦の指導者への暗殺を停止することが中心となっているが、イスラエルはこれを拒否しているとのことである。

www.ynetnews.com/article/r118lg54n#autoplay

<石のひとりごと>

今回、イスラエルは、ネタニヤフ首相が言うように、本気ムードでイスラム聖戦をたたいているようである。ハマス、ヒズボラ、イランへのメッセージでもあるのだろう。

しかし、今、難しい状況にあるのに、助けるパレスチナ組織はひとつもないということをイスラム聖戦はどう感じているのだろうか。その中で、ガザ市民が犠牲になっているのもなんとも悲惨な話である。

残っているイスラム聖戦指導者たちの目が開かれることでもあれば、早く開かれて、停戦になるように。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。