またイスラエル兵死亡:東エルサレムと西岸で衝突続くも仮庵の賑わいも続く 2022.10.14

戦死したイド・バルフ軍曹(21)

西岸地区でイスラエル兵(21)死亡

イスラエルでは西岸地区、また東エルサレムでパレスチナ人とイスラエルの治安部隊との衝突が続き、今日もジェニンでの衝突で、パレスチナ人2人が死亡したとの報道が入っている。

www.timesofisrael.com/israeli-forces-clash-with-palestinian-gunmen-during-daylight-raid-in-jenin/

このような報道は毎日にのように出ているが、イスラエル側も8日に、東エルサレムの検問所でノア・ラザール軍曹(18)が死亡。11日には西岸地区北部シャベイ・ショムロンで、イド・バルフ軍曹(21)が銃撃戦の中で銃撃に死亡した。

イドさんは、深すぎる悲しみに追いやられた家族や恋人、友人たちに囲まれて、11日、埋葬された。

www.jpost.com/israel-news/article-719474

東エルサレムで暴動と衝突続く

ノアさんを殺害したパレスチナ人容疑者ウダイ・タミミを逮捕するため、東エルサレムのシュアハットを閉鎖して捜索に入ったイスラエルの治安部隊だが、まだ逮捕したとの報告はない。今では、シュアハットだけでなく、東エルサレムのパレスチナ人全地域のあちこちで衝突が続いている。

イスラエル軍だけでなく、ユダヤ人市民にも投石するなどの衝突があり、極右政治家グブール氏が東エルサレムで、銃を構える様子が報じられたりしている。グブール氏がそこにいるだけで、火を注ぐことになるので、なぜそんなところに行ったのかは不明である。

東エルサレム旧市街嘆きの壁は仮庵・祭司の祈りで大混雑

しかし、そこからそう遠くない旧市街の嘆きの壁では、仮庵を祝うユダヤ人たちで賑わっている。仮庵の祭り中日の12日には、予定通り、満員の中で、祭司の祈りが行われた。

ICEJ:世界70カ国からクリスチャンが西エルサレム市内をマーチ

9日からエルサレムでカンファレンスを開催しているICEJ(国際クリスチャンエンバシー)では、世界70カ国から来た2000人以上の福音派クリスチャンが、西エルサレム市内をそれぞれの国旗とともにマーチした。以下のクリップの中には、イラン人クリスチャンも出ている。

石のひとりごと

同じエルサレムでも、東と西では全く違う光景が繰り広げられれいる。東エルサレムでは、厳しい戦闘が続いて、まるで戦争状態だが、そこから歩いて行ける旧市街嘆きの壁、また西エルサレムでは、いつもとまったく変わらない、賑わいが展開しているのである。異様ではあるが、その深刻度は別として、この状況は特に、今にはじまったことではない。

若いイスラエル兵がもう2人も死んで、他人事ではないので、皆心に悲痛な思いを抱えていることだろう。しかし、それが、国の空気がかわるほどの恐怖にはならない。残念ながら、予測されうる事態でもあるのだ。

以前、このような状態の中で東エルサレムで取材し、その後路面電車に乗ると、1分もしないうちに普通の日常となり、東エルサレムとはまるで別世界であったのを覚えている。危険だからといって制限したり、悲しいといって、いちいち落ち込むことはそれこそが負けなのである。

たとえば、テロ現場はできるだけ早く片付けて、数時間後には通常に戻す。こういう状況に慣れているイスラエル人は、いつ状況が変わるかもわからないので、今できるだけ楽しもうとする。ある意味、それが、不幸が来た時の備えである。これは、将来の不幸に備えてとにかく保守的な日本人とは全く違う一面かもしれない。

パレスチナ人との今のこの暴力もまた鎮まる時がくるのだろうが、早くその日が来るように。両サイドで、これ以上、命が奪われる前に鎮まるようにと、いのちの主に祈っていただければと思う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。