デルタ株市中感染も?:子供達へのワクチン大ラッシュ 2021.6.30

ワクチンを受けるベネット首相娘のミカルさん(14) Nimrod Glickman, Clalit Health Services (Sharon-Samaria District) Spokesperson's Office

市中感染疑いで感染拡大も重症者は減少傾向

イスラエルでは、デルタ株の感染が、ベングリオン空港で、入国する人々から発見されていたが、先週、ベングリオン空港での帰国者のPCR検査の結果が、10日以上、届かないという事態になっていたことがわかった。その間、人々は外へ出かけていたという。

政府は、原因を調査するとともに、渡航禁止国や、感染拡大で赤信号となっている国からの入国者の管理は、すべて、通常のターミナル3から、ターミナル1にふりかえるとした。

一方、国内では感染者数が増加傾向にあり、市中感染になっていると言われ始めた。

感染者数はいったん下がったものの、29日の新規感染者は283人と、再度上昇した。国内では、赤信号に指定された地域が4箇所(主にテルアビブ周辺地域と、西岸地区入植地1箇所)に増えた。

国外からの侵入だけでなく、市中感染になりはじめていると言われている。

ペタフ・ティクバ(テルアビブ近郊)では、学校の子供達から少なくとも20人の感染(デルタ株)が確認され、全校生徒723人全員を自宅待機とした。再びオンライン授業を再開させている。ということは、その親たちも自宅待機ということになり、仕事にいけないということである。

テルアビブでは、軍を再稼働してPCR検査場を再開し、感染者の追跡とクラスター対策を再開させている。

www.ynetnews.com/health_science/article/BkWV8Uuh00

しかし、感染者は増えても、入院して重症になる人の数は減少している。保健省によると、現在入院している人は、先週56人であったところ、45人に減少。重症者も31人から21人に減少しているという。

大ラッシュで子供達へのワクチン接種

接種会場を視察するベネット首相
GPO

ベネット首相は、今のところ、ロックダウンはしない方針である。しかし、ワクチンをしていない人が感染しやすいことは明らかだとして、ワクチン接種を強く、国民に促すとともに、大ラッシュで行っている。

イスラエルは、世界でも接種が進んでいることで知られているが、それでも、ワクチンが必要とされるのに、接種をしていない人は35%にのぼっているのである。

同時に12-15歳の子供たちへのワクチン接種も進め、1日3万人を目標に大ラッシュですすめている。

ベネット首相は、ワクチン接種をアピールするため、娘のミカエルさん(14)がワクチン接種を受ける様子を公表した。Times of Israel によると、このキャンペーンで、29日朝の時点で、10-19歳のおよそ32%が、すでに1回目のワクチン接種を終えた。

しかし、今のところ、接種に来る人の98%近くは、12-15歳の子供達とのこと。

www.ynetnews.com/health_science/article/H1Bn9O00hO

イスラエルでは、ワクチン拒否派もおり、特に子供へのワクチン接種に反対する人も少なくないはずである。一般のメディアには出てこないが、そういう人や、親たちはおそらくこの圧力に苦悩していることであろう。

期限切れ間近ワクチンが後押し?:80万回分は廃棄処分見通し

イスラエルは、世界に先駆けて早くにワクチンを購入したためか、7月末で期限切れを迎えるワクチンが、140万回分もあるという。

イスラエルは。これをパレスチナ自治政府に回して、その分を秋にファイザーから補填してもらう計画になっていた。しかし、パレスチナ自治政府がこれを断ってきたわけである。

これを無駄にしないためにも、30万人の子供達への1回目のワクチンを、2回目を7月中に終えられる7月9日までに終える計画にしているのである。そうすれば、140万回分のうち、60万回分を使用でき、無駄にしないですむ。

しかし、それでもまだ80万回分が残ることになる。もし7月9日までにどこかの国がこれを購入して使わなかった場合、なんと80万回分(40万人分)が廃棄されることになるという。

石のひとりごと

イスラエル人は、危機管理が優先するので、気にしないのかもしれないが、日本では、ワクチンの期限切れ間近だから早く!という政府に、市民たちはどう反応するだろうか。

イスラエルのやり方が、合理的と言えば合理的であるし、これが、いい意味で後押しになり、あとで、「やっておいてよかった」ということになることも十分ありうる。

しかし、その結果は、感染拡大がおこらなかったということで、効果があったかどうかは明確にはわからないことである。

それでも、今のところ、全部ではないにしても、多くのイスラエル人たち、親たちは、この政府の呼びかけに結構応じているようである。やはり、まだ発生する前の危機に対処することに、イスラエル人はなれているのかもしれない。

しかし、それでも80万回分が廃棄とは・・・すぐ隣のパレスチナ人が使ってくれることが最善だが、こちらは、実質よりもプライドか、イスラエルへの不信か、期限切れ間近商品はいらないという・・・この変異株の時代、その決断がどう出るかは不明なのだが。。

ともかく、どこかへ寄付するとか、何か最善の道があればと思うところである。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。