コロナ最前線:重症者525人で医療崩壊視野も3回目ワクチン効果に朗報か 2021.8.16

テルアビブのソウラスキー医療センターを訪問するベネット首相Kobi Gideon (GPO)

重症者500人突破

イスラエルでは、感染拡大と重症化に歯止めがかからず、日曜の時点での入院患者数は877人。重症者は525人と500人を突破した。死者もこの週末だけで42人が死亡した。ベネット首相によると、イスラエルでの重症者も死者も90%が60歳以上とのこと。

この状況で、医療は緊迫を増しており、現地ニュースとみると、ベッドとベッドの間がかなり狭くなるほどに患者を受け入れているのがわかる。今のところはまだ、既存の病院で対処できているが、最大数は1200床とのこと。この先重症者用ベッドは2000床必要になるとみられ、最悪の場合は、前回3波のときのように、ハイファのランバン病院地下駐車場医療センター(1000人収容可能)の利用が開始されることになる。

ベネット首相は、まだしばらくは厳しい状況が続くとの見通しの認識を語っている。その上で、「ネタニヤフ前政権が実施した3回のロックダウンにかかった費用は2000億シェケル(6兆円)にのぼる。今、ロックダウンするのは簡単だが、これ以上にまたロックダウンすれば、イスラエルの経済は崩壊する。

経済が崩壊すれば、防衛にも影響し、最前線に送り出す兵士に十分な装備を提供しないなら何人の兵士が死んでしまうだろうか。」などと国民に、ロックダウンしないことへの理解を求めた。そうして、国民としても、自分と自分の愛する家族を守ってほしい。ワクチンを受けてほしいと国民一人一人にも協力を呼びかけている。

文字通り、デルタ株が早いか、ワクチンが早いか競争の様相である。この状況の中、3回目のワクチン接種を受けた人の間で、感染者や重症化が減少しているという朗報が出てきた。

ワクチン接種3回目に感染予防・重症化予防効果ありか

現在、重症化しているのは、60歳以上でワクチンをしていない人が多い。ベネット首相によると、先週死亡した78人のうち76人は60歳以上であった。これを、ワクチン接種の状況で分類すると、60歳以上10万人中、ワクチン接種2回完了していた人で重症化した人は20人だったが、接種していない人は134人と約7倍近くになった。

さらに、3回目接種をした人が感染する率は、2回しかしていない人の半分近くになるというデータが発表されている。

イスラエルは、7月中旬から60歳以上に3回目のワクチン接種を開始。8月13日の時点で、3回目接種を終えた人は86万人を超えた。コロナ基幹病院のシャバ医療センターのイツハク・クレイス教授によると、3回目接種した人で、その効果が始まるとみられる8日以降の感染者数は69人であった。言い換えれば、ワクチンを3回受けてもまだ感染した人が69人ということである。

しかし、ワクチン接種2回だけの人で感染した人は130人以上と倍であったことから、やはり3回目接種には感染を予防する効果もあるとクレイス教授は語っている。

加えて、感染者の中の60歳以上の人の割合が、7月中は15%前後であったものが、3回目ワクチンが進んできた8月から、徐々にこの割合が低下していることがわかった。こうしたデータから、イスラエルの専門家たちは、やはりワクチン2回接種は有効で、3回目にも効果ありとの見方が優勢である。

www.mako.co.il/news-lifestyle/2021_q3/Article-6f1f852c49a4b71026.htm?sCh=3d385dd2dd5d4110&pId=1898243326

イスラエル軍動員:検査・ワクチン接種24時間体制へ

ベネット首相は、まだワクチン接種をしていない人にあらためて接種を促すとともに、50歳以上の人に3回目の接種を急ぐよう、呼びかけた。これに対応するため、13日(金)夜の安息日入りの日から、まずテルアビブで夜8時から朝4時のワクチン接種会場を設置した。

テルアビブ住民は、日中、仕事をして、夜遅くに出歩く人が多いことに対応した形である。結果、大勢が押し寄せたとのこと。政府は、今後、ワクチン接種会場を全国10都市に拡大するほか、検査体制(抗体の有無で感染状況把握)もさらに充実させると発表。そのマンパワーとして、イスラエル軍予備役兵の招集も行うとのこと。

イスラエルでは、先週、一般の学校に先駆けて超正統派の子供達が新学期を始めた。登校前のは全生徒への抗体検査を行うことになっている。昨年感染が深刻だった超正統派のブネイ・ブラックの子供達では、3人に1人は抗体を持っていることが明らかとなっている。

www.timesofisrael.com/as-israel-expands-nighttime-vaccinations-hundreds-of-reservists-to-join-effort/

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて18年。学校・企業・教会などで講演して15年になります。