地球温暖化:人類に残された時間はあと20年? 2021.8.14

溶ける海氷の上にいるシロクマ WWF

地球温暖化問題。日本でも報じられているが、一応、理解するためにまとめてみた。要は、地球がより人間に厳しい環境に向けて、加速的に変化しているということのようである。

予想より早い地球温暖化:2040年までに1.5度上昇達成の可能性

8月9日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、8年ぶりに報告書を提出した。IPCCとは、地球温暖化に関する世界中の専門家からなる委員会で、この問題に関する化学的な知見を統括している国連機関である。1990年からこれまでに5回の報告書を出しており、今回は6回目。

地球温暖化については、2015年のCop21(国連気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties))でのパリ協定で、平均気温の上昇を、産業革命(19世紀)時代と比べて1.5度に抑えることを目標に、温室効果ガスの削減を目指すことが採択された。以後、それぞれの国でその努力が進められている。

今年11月、イギリスでCOP26が開催され、各国はそれぞれのとり組みと進捗状況を報告することになっている。このため、今、日本を含め、先進国は、温室効果ガス排出量の削減達成に向けて最後の追い込みに入っているところである。

日本が掲げた目標は、2030年までに、温室効果ガスを、2013年時点の46%まで削減することとなっている。

ところが、IPCCの最新の発表によると、こうした国際社会の努力にもかかわらず、地球の平均気温は、すでに1.09度まで上がっていることがわかった。

こうなると、たとえ2050年までに世界が温室効果ガスの排出を0にすることができるほどのペースで削減できたとしても、予想より10年早い2040年には、すでに1.5度上昇を達成してしまう可能性が50%にもなるということである。

これが何を意味するのかというと、今すでに経験している異常熱波や豪雨、猛烈な台風といった極端現象が、大幅に増え、地球がとても人間の住める環境ではなくなってしまうという状況に近づくのが10年早まったということである。

数値的に出されているところによると、極端現象の発生率は、今すでに産業革命時代(19世紀)から8.6倍になっている。

このままのペースで行くと、人間がいかに努力しても、2050年には、平均気温の上昇率が1.5度どころか2度になる可能性もあり、そうなると、極端現象の発生は13.9倍になるという。

IPCCは、地球温暖化の原因は、人間社会の活動によるものであると明言しており、さらなる努力を促した。

しかし、それはこれまでの蓄積の結果なのであって、今となっては、壮大な大自然の前に、人間の努力はあまりにも小さく見えるところである。

加速的に進む異常熱波と森林火災

今年の世界の様子をみていると、すでに、記録的な熱波と森林火災と洪水が、異様な勢いで世界各地で発生している。

この8月には、イタリアのシチリア島でヨーロッパ史上最高の48.8度を記録した他、トルコ、ギリシャ、イタリアでも大規模な森林火災が発生した。アルジェリアでも大規模森林火災で42人が死亡している。

これらの地域でこの時期の山火事は珍しいものではないが、規模がこれまでとは比べられないほと大きいものが発生しているという。

森林火災が発生するとかなりの量の二酸化炭素が出る。2019年から2020年にかけて、オーストラリアで大規模な山火事が発生したが、この時に発生した二酸化炭素の量は、2017年に人間が出した温室効果ガスの1.5倍であったとのこと。(国立研究開発法人 国立環境研究所 地球システム領域 地球環境研究センター)

加えて、森林が焼失することで、二酸化炭素が吸収されなくなることから、温室効果ガスの増加は、森林火災の多発によって加速されていくことになる。

www.nies.go.jp/whatsnew/20210506/20210506.html

以下は7-8月に発生したイスラエル近隣諸国の山林火災の様子

1)ギリシャ猛暑45度以上:森林火災でエビア島の半分焼失

ギリシャで、気温が45度以上と、記録的猛暑が続いている。発生した山火事は、首都アテネ周辺を含め全国で586件。数百棟の家屋が消失しいる。特に被害が大きいのが、ギリシャで2番目に大きな島、エビア島。

6日間以上燃え続けて、島民2000人が、島からの避難を余儀なくされた。これまでに島の半分が消失したと伝えられている。

この火災で、島にあった樹齢2500年のオリーブの木が無惨な姿になったという。ニュースウイークは、その様子は黙示録のようだとも書いている。また、避難した島民は、まるでホラー映画だとも言っていた。

edition.cnn.com/2021/08/09/europe/greece-wildfire-warning-climate-intl/index.html

イスラエルは、ギリシャに消火部隊16人を派遣。フランス、スイス、ルーマニア、キプロス、クロアチア、スウェーデンからも消防隊や消防車、飛行機などが到着。消火に協力した。

なお、ギリシャでは2018年にもアテネの東マティで、森林火災が発生し、100人以上が死亡している。

www.timesofisrael.com/israel-sends-firefighting-team-equipment-to-greece-as-thousands-flee-blazes/

2)トルコで史上最悪の山火事(8人死亡)と続く洪水(17人死亡)

トルコでは、この7月後半、イスタンブールを含む北部の気温が通常より12度も高い36度を記録した。南東部チズレでは、49度まで上がった。

この後、南西部180箇所で山火事が発生。気温が40度以上、乾燥した空気と強風で1週間以上燃え続け、火はビーチのリゾート地にまで及び、観光客がボートで非難を余儀なくされた。

この火災で、焼失した面積は、淡路島ほどにも及ぶ。なんらかの負傷を負った人は1000人を超え、死者は消防士や住民など8人。エルドアン大統領は、トルコ史上最悪の山火事との認識を明らかにした。山火事の原因は、放火の可能性もあり捜査が続けられているが、異常な暑さが災害を異常に大きくしたようである。

以下は8月7日付でスカイニュースが報じたトルコの森林火災の様子

なお、アンカラのイスラエル大使館によると、トルコはイスラエルからの消火支援の申し出を断ったとのこと。

さらにトルコでは、森林火災に続いて12日、黒海のカスタモウ地方で、大洪水が発生。1400人が避難し、これまでに17人の死亡が確認されている。トルコでは、7月にも2度の洪水が発生しており、6人が死亡していたのであった。

加速的に北極の海氷が溶けて海面上昇

サハ共和国

ロシアのシベリアにあるサハ共和国は、永久凍土の上にある地域。ここで森林火災が延焼を続けている。NASAは8月7日、宇宙からの衛生画像から、この森林火災が北極にまで達していることを報告した。ここで問題になるのが、北極の永久凍土が加速的に溶けているという点である。

北極では海氷が急速に溶けていることが、数年前から報告されてきた海氷が溶けることの問題は、まずは、海面水位が上がるという点。

今回のIPCCの報告によると、海面水位が、1900年代から2.5倍の速さで上昇しているという。さまざまなシミュレーションで、今世紀末までに2メートル上昇する可能性があるとのこと。

2004年にグリーンランドを取材したBBCが、15年ぶりに同じ地点に戻った取材によると、30階のビルがなくなったほどに棚氷(陸上の氷河や氷床が海に出たもの)がなくなっていると伝えている。

また、その報告によると、グリーンランドの氷が1ヶ月に1メートル溶けているとのこと。最終的に棚氷が全部溶けると、海面は7メートル上がる計算になるという。そうなるとインドネシアやバングラデシュなどが海底に沈む。

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海面が上昇すると、温暖化の影響も加わって、空気中の水分が増え、台風の勢力も数も増えて豪雨が発生し、各地で洪水が発生するようになる。

また、温室効果ガスのメタンガスが発生する。氷の中にいた未知の微生物、病原体が出てくる可能性もあげられている。

総じて、今のままでは2040年までには、すでに地球の生活環境は、今よりかなり厳しくなっていると予想しなければならない。

この2040年だが、特に日本では、国民の高齢化がピークに達する年、認知症患者が最大値になる年とされ、それに向けた準備がすすめられている。(総人口の35%以上が85歳以上でその4-5人に1人は認知症と予測)

これに地球温暖化の問題が重なってくるわけであるので、政府は、今から相当な準備をすすめていかなければならないだろう。

www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517328.pdf

どうする人類?:京都議定書からパリ協定、COP21からCOP26

IPCCは、2050年までにカーボンニュートラル、言い換えれば、二酸化炭素の排出と吸収のバランスが取れている状態、また温室効果ガスの排出がゼロになる脱酸素社会を目指すとしている。そのためには、まず2030年までに、温室効果ガスの量を今の半分にすることが目標となる。

www.kikonet.org/info/press-release/2020-12-14/the-revision-of-the-basic-energy-plan

地球温暖化に対する国際的な取組は1992年から枠組み条約という形で始まり、1997年の京都議定書で取組が本格化した。

しかし、これには、当時温室効果ガスを最も排出していたアメリカが参加を見送ったことから、世界が一致して目標を一つにするのではなく、各国が自主的に目標を定めて取り組むこととなった。

第21回気候変動枠組条約締約国会議
wikipedia

しかし同時に国際的な枠組みを作る動きもなくなったわけではなく、2015年には、国連を基盤とするCOP21(気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties)が開催された。

この時、2020年以降の対策についてが話し合われた結果、パリ協定が結ばれた。

アメリカはトランプ前大統領の時に、この協定から離脱していたが、バイデン大統領になってから、これに復帰した。

パリ協定では、先に述べたように、2050年までにカーボンニュートラルを実現するといった長期目標で合意するとともに、特に温暖化ガスを排出している先進国が、2025年に0にすることを目標に、2030年までに削減する目標値を提示。

また、この問題に関して、先進国から後進国への支援とそのための仕組みなどが話し合われたのであった。

昨年はCOP21から5年の節目であったため、COP26として、各国の温室効果ガス削減の進捗が話し合われることになっていた。しかし、新型コロナの蔓延でこれが延期となり、今年2021年10月31日から11月12日に、ロンドンで開催される予定である。

www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3535.html

各国は自らが設定した目標にどれだけ近づいたかを発表しなければならない。先進国の間では、これが今後の国際的な信用にかかわることになるため、民間の企業、NGOやNPOも動員しながら、必死にこれに取り組んでいるところである。

www.gov.uk/government/topical-events/cop26

発明大国イスラエルに期待も

イスラエルはスタートアップの国。困難の中で、それに対する奇抜な発想で新しい技術を世界に発信してきた国である。この地球温暖化に対しても、イスラエルに期待する動きがある。

IPCCの発表の2日前、カナダの慈善家とカナダのユダヤ機関JNF(Jewish National Fund)、またイスラエル国内外のユダヤ人組織が、イスラエル人研究者や大学などに向けて、地球温暖化への取り組みを募集。選ばれた企業には100万ドル(1億1000万円)を出資すると発表した。こうした投資はこれまでで最大規模だという。

技術の分野は、温室効果ガスを削減するためのエネルギー技術、交通、製造業、建築、農業、土地利用など、幅広くなんでもありである。応募はこの10月からで、審査の結果4つの案が来年6月に発表される。

イスラエルは、地球温暖化によって中東ですすんでいる旱魃に対して解決を提示している。海水の淡水化技術でである。この技術がなければ、イスラエルも今頃、水不足に喘いでいただろう。

イスラエルでのこうした民間主導の技術開発は、2019年の月面探査機ベレシットにも見ることができる。ベレシットは、民間によって打ち上げられ、もう少しで月面に到着というところまでいったのであった。

奇抜な発想力と、思い切った投資、またなによりも、「世界に貢献する」ことを常に目標とするイスラエルと、それを助ける世界中にいるユダヤ人たち。世界は結局この人々からの祝福をもらうことになるのかもしれない。

www.timesofisrael.com/with-1m-annual-prize-donor-hopes-israeli-ideas-will-help-solve-climate-crisis/

石のひとりごと

地球温暖化問題は、いわばまだまだ先のことなので、実感のない人の方が多いだろう。しかし、それは確実に近づいているようである。ただ、もう人類が何をしても、もはやこれは止められるものではないような気もする。

むしろ、今は、聖書に書いてある通り、この世界を創造されたのは主であり、支配者は人間ではないということ、人間はその与えられた世界の中で、今まで楽しませていただいていたのだということを思い出し、この神に立ち返るようにと語られているようのではないか。

そうした中でも、最後まであきらめず、戦おうとするのがイスラエルである。イスラエルという国は、神に選ばれた人々と言われる。しかし、聖書でヤコブが神が祝福してくださるまではと戦ったように(創世記32:22-28)、常に、そして今もこの神の前で、せいいっぱい戦っているような気がする。

父として見守る神の前で戦う必要はないのだろうか?いや、神はその挑戦、失敗、成功を通してこそ、彼らとそれに続く世界を祝福してくださっている。そのようにして、神はご自身の存在を明らかにしておられる。そんな彼らと神の関係の中に、底知れない信頼関係と結びつきを感じている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。