イスラエルでは、先週8-10日の週末、シャブオット(7週の祭り)が行われた。この例祭では、収穫を祝うと同時に、出エジプトから50日目にシナイ山で、イスラエル人たちが、律法を授かった日として、夜を徹して聖書を読むなど、各地で様々なイベントや祭りが行われた。幸い、各地での例祭は、平和に終わっている。
しかし、イスラエル南部では、ガザから凧などによって飛来する火炎物が続き、12日だけで12個は飛来して、麦畑畑が焼失するテロ事件が相次いだ。これを受けて、イスラエル政府は、12日(水)、いったん拡大していたガザの漁業海域を再び閉鎖する報復措置をとった。
すると、その翌13日(木)朝、ガザからイスラエル南部へ向けてロケット弾が発射された。住民はサイレンで避難。ミサイルは迎撃ミサイルが撃墜した。イスラエル軍は、ガザへ、報復の空爆を行った。
その同じ13日(木)夜9時、ガザから再びロケット弾が飛来。イシバ(ユダヤ教神学校)2階の外壁にあたり、窓が割れたり、外壁の瓦礫が階下に散乱するなどの被害が発生した。部屋にいた学生らは、サイレンで避難したが、数秒で着弾したため、わずか数メートルの地点に破片が散乱したという。まさに危機一髪の軌跡だったと語っている。
軌跡はそれだけではない。着弾したロケット弾は、不発だったのか、弾頭が破裂していなかった。また、学生の多くは、週末ですでに帰宅しており、残っていたのは数人であったという。破片でとなりのシナゴーグも被害を受けたが、こちらも人的被害はなかった。
これを受けて、イスラエル軍は再度、ガザ内部への空爆を行っている。
www.timesofisrael.com/israeli-planes-reportedly-hit-gaza-after-sderot-rocket-attack/
<金曜ガザ国境デモ再開へ>
イスラエルとガザは、今年5月の大きな軍事衝突(イスラエル南部へミサイル700発)で、イスラエル人4人が死亡。ガザでは29人が死亡した。この後、公式ではない形で、6ヶ月の停戦合意が交わされたと伝えられている。しかし、現場においては、停戦とは言い難い状況になりはじめている
こうした中、アメリカのデービッド・ フリードマン在イスラエル大使が、先週金曜、ニューヨークタイムスのインタビューで、「イスラエルには、西岸地区を合併する権利がある。しかしおそらく全部ではないが。」と語ったことから、アメリカの中東和平案に、西岸地区のイスラエルへの合併が含まれるのではないかと、大きな論争となった。
ガザでは、先週、ラマダンが終了したこともあり、国境での金曜デモを再開するが、これからは、フリードマン大使の発言に焦点をしぼったデモにすると言っている。*これまでは、トランプ大統領が米大使館を、エルサレムに移動させると言ったことへの反発が焦点であった。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5522995,00.html
<ハマスの真意は?>
今回、イスラエル南部へ火炎物を飛ばしたのは、一般のガザ市民ではなく、ハマスの組織的な攻撃であったとみられている。ハマスは、イスラエルを攻撃するにあたり、停戦で合意したことをイスラエルがなかなか履行しようとしないことへの抗議行動だと言っている。
Times of Israel の評論家、アビ・イサカロフ氏は、ハマスの挑発の背景には、以下のような点があると指摘する。
1)カタールからの現金到着遅延に反発
ハマスが暴力的なデモを抑制する背景には、カタールがその担当官が直接ガザに持ち込んで、貧しい市民たちに配給する現金という要素があった。イスラエルはこれを容認する方針をとっている。
しかし今回、イスラエルが漁業海域を再閉鎖した際、カタールからの現金(3000万ドル予定)も届かなくなるといううわさがガザに流れた。この直後に、イスラエルへのロケット弾が発射されている。
14日、イスラエルは、来週末までには、カタールの現金がガザへ入るようにすると言っているという情報がある。ガザでは、イスラエルを困らせて、カタールからの現金をもらうという、妙なサイクルができあがっているようである。
2)バハレーンでの国際会議への反発
トランプ大統領は、中東和平案を公開するに先立ち、まずは、パレスチナ人の経済を活性化するとして、6月25-26日、バーレーンで、湾岸諸国を中心とした国々によるワークショップを開催することになっている。
これについて、パレスチナ自治政府は、占領を金で解決しようとしている、(和平交渉への障害で開示できないでいることへの)単なる時間稼ぎだなどと反発している。しかし11日、ホワイトハウスは、アッバス議長の繰り返しの欠席要請をよそに、エジプトとヨルダンの首脳もこの会議に出席すると発表した。
なお、この会議に招かれた、パレスチナ自治政府、ロシアと中国は欠席を表明している。
3)ネタニヤフ首相の指導力低下を狙う
イスラエルでは、ネタニヤフ首相が連立政権を樹立できず、10月ぐらいまで暫定政権となる。大きな決断ができないばかりか、ネタニヤフ首相自身も、汚職で起訴される可能性が高まるという不安定な状況である。ハマスはこれをチャンスと見た可能性もある。
www.timesofisrael.com/with-netanyahu-vulnerable-ahead-of-elections-hamas-ups-the-pressure/
しかし、以下に述べるが、今、イランとアメリカが一触即発状態で、緊張が高まっていることから、イランが、ハマスを使ってイスラエルと衝突させ、注目をそらそうとしている可能性もあるだろう。ハマスは経済的にイランに依存しており、今やイランのいうことには逆らえない状況にあると思われる。
<石のひとりごと:金の威力>
ガザでカタールの現金を受け取ったガザ市民 写真出展:Times of Israel
カタールからの現金配布の記事にあった写真が印象的だった。ガザ地区の一人の男性が、カタールからもらった100ドル紙幣を手に満面の笑顔になっている写真である。この男性がハマスなのかどうかは不明だが、まったく普通の人が、まったく無心にただただうれしいといった表情である。
お金・・その支配力の大きさに、改めて恐ろしいものを感じた。ガザのパレスチナ人であろうが、日本人であろうが、お金をもらえば、みな等しくただただ嬉しいのだ。また、ハマスもヒズボラも皆、イランからのお金でサバイバルしている以上、なんであれ、イランのいうことを聞かなければならない。
あたりまえだが、今の人間社会、ガザであろうが、東京であろうが、結局、同じお金ですべてがまわっている。人類はみな同じなのである。
しかし、聖書の黙示録には、この経済という支配者が、やがて崩壊する様子が描かれている。そのあと、そのお金さえも、支配下に収めている創造主なる神が明らかにされ、その支配下にある新しい世界がやってくる。(黙示録18章)
信じるか信じないかはそれぞれだが、まだ聖書を読んでない人は検証の価値ありと筆者は思う。