9日(日):世界3大宗教全部がエルサレムで例祭:イスラエルは空軍と国境警備隊の予備役を招集 2023.4.8

エルサレム旧市街(手前黄金のドーム(イスラム)、白いドーム(ユダヤ教シナゴーグ)、シオンの丘にあるマリア永眠教会)

南レバノンとガザからのミサイルやロケット弾は、一応の休止状態となっている。神殿の丘では、ハマスの旗を振る15人が逮捕されたが、大きな衝突にはいたらずに金曜を終えた。しかし、まだ予断はゆされない状況にある。

また、昨日には、壮絶なテロが続けて2件発生し、ユダヤ人姉妹2人が死亡。その母も重症。テルアビブではイタリア人旅行者が死亡し、7人が負傷している。

こうした緊張の中、エルサレムでは、世界3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)全部が、重要な例祭を迎えている

ユダヤ教は、5日から12日まで過越の祭り。キリスト教(カトリックとプロテスタント)は2日から受難週とされ、8日はグッドフライデー(イエスキリストが十字架にかかって死に、墓に葬られた)、9日は復活祭る。イスラム教のラマダンは3月23日に始まり、22日までである。

特にこの9日(日)午前中は、ユダヤ人は嘆きの壁で、過越の祭り中の祭司の祈りの日になっており、嘆きの壁は文字通り、動けないほどの大群衆になる。

祭司の祈りとは、ユダヤ民族の中で、唯一その家計を維持していると言われている祭司の家系、コーヘン一族の人々が、イスラエルと世界の祝福のために、嘆きの壁で祈るイベントのことである。本来なら神殿で行われる祈りだが、今は神殿がないので、かつての神殿の至聖所に最も近いとされる嘆きの壁で、祭司たちが祈るということである。

ユダヤ教徒は、聖書の時代から、3大例祭(過越、7週の祭り、秋の仮庵の祭り)には、エルサレムに巡礼に来ることになっている。このうち、祭司の祈りは、過越と仮庵の中日に、年2回、行われている。

祭司の祈りの日は、そこにいるだけで、祝福をもらえるという信仰があり、ユダヤ人たちがこの日、嘆きの壁にぎっしりやってくる。以下のサイトから、今年もその中継を見ることができる。

加えて今年、9日は、キリスト教徒(カトリックとプロテスタント)で巡礼者が、その現場である旧市街の聖墳墓教会におしよせる日でもある。

イスラム教徒はまだラマダン期間中。このように、3宗教全部の例祭が重なるのは、100年に3回だけとのこと。

GPO

こうした中で、ここ数日の間のミサイル攻撃や、テロ事件頻発ということである。いうまでもなく、非常に危険な状況である。ネタニヤフ首相は、ガラント防衛相と共にヨルダン渓谷のテロ現場を視察。これからの攻撃に備え、空軍の予備役の招集を決めた。

また、国内でのテロは連続して発生していることから、警備体制を高めるために、国境警備隊(警察傘下)の予備役兵の招集を決めた。

 

<石のひとりごと>

なんという過激な週であろうか。エルサレムにいるすべての人々が、神の前に出るその時に、人間はテロを行い、互いを殺し合っている。エルサレムに主が目を向け、私たち人間を憐れみ、その唯一の救いが、全ての人の心に明らかになるように。明日9日は、私たちもへりくだり、主の前に出る時としよう。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。