ナブルス近郊(エルサレムから40分)で1日、ラビ・ヘンキンさん夫妻が4人の子供の目前で射殺されたところだが、その後もエルサレム市内などでテロが発生している。
3日土曜、安息日あけの午後7時ごろ(日本時間4日午前1時、エルサレム旧市街のダマスカス門からイスラム地区を通って嘆きの壁へ向っていた、2歳児を含むレビさん家族が襲撃された。
このテロで、父親のラビ・ナフミア・レビさん(41)と旧市街在住のイスラエル軍予備役ラビ(23)が瀕死の重傷となり、2人はまもなく病院で死亡した。レビさんの妻も重傷。レビさん夫妻の2歳児は軽傷だが病院に収容されている。
犯人は、西岸地区ラマラ近郊に住むパレスチナ人モハンド・ハラビ(19)で、現場から逃げて来た女性の通報で現場に駆けつけた警察官に射殺された。
犯行現場は、イスラム地区だが、神殿の丘へ向うイスラム教徒、嘆きの壁へ向うユダヤ教徒、またキリスト教徒が聖墳墓教会へ向うビアドロローサ(十字架の道)も一部重なる道。普段は多くの現地人とともに観光客も行き交う道である。
*メディアはライオン門付近と伝えるものもあるが、実際にはライオン門からは大分中に入った嘆きの壁に続くハガイ通り
事件発生時、犯人のモハンドは、嘆きの壁での祈りに向っていたレビさん一家を襲撃。まず父親のナフミアさんをナイフで刺し、ナフミアさんの銃を奪って付近にいた通行人に向って発砲。そのまま2人を刺しているところ、警察官に射殺された。発砲された通行人に被害はなし。
通行人によるビデオ:http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/201373#.VhA7XaUWnA8
現在、旧市街のダマスカス門から嘆きの壁への道は、大勢の治安部隊で非常にもののしい雰囲気である。ザカ(テロ被害者保護と現場処理を担当するユダヤ教団体)隊員たちが、血の海になっている通りを清掃している様子がテレビで報じられていた。
なお、この事件と平行し、エルサレムのノフ・ツィオン地域で仮庵が銃撃を受けている。幸い中には誰もいなかったので、負傷者はなし。
<多地域でもテロ>
金曜の安息日入りの夜、エルサレムとテルアビブ間、空港近くでアラブ人の町と隣り合わせの町ロッドでも、仮庵が銃撃を受けた。
これにより、仮庵の中にいた5才の少年が、骸骨陥没の負傷。現在も集中治療室で治療を受けている。西岸地区入植地でも仮庵が銃撃され、中で寝ていた16才の少女が足を撃たれて病院に搬入された。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4706610,00.html
<テロをあおるハマス・沈黙のアッバス議長>
親子連れを狙って、その親だけを殺すなど、良心が麻痺しているとしか考えられない行為だが、ハマスはこうしたテロを実行するものを「ヒーロー」と呼び、テロ行為に賞賛を送っている。
また、パレスチナ人に対し、「今こそ立ち上がれ。」と叫んでいる。アッバス議長も、木曜の悲惨なテロを受けても、沈黙のままだ。
これでは、人生に目的を見いだせていないパレスチナ人の若者をたきつけるようなものである。実際、木曜以来、西岸地区各地で、治安部隊との衝突が発生し、ヘブロンではイスラエル軍の車両に火炎瓶が投げ入れられて炎上。投石テロが発生している。
今日3日の犯行に及んだモハンドは、犯行前日の金曜、フェイスブックに「第三インティファーダは、すでに始まった。」と書き込んでいた。*インティファーダ・・自爆テロなどパレスチナ人のテロの波
「第三インティファーダが始まったか?」との声はここしばらくイスラエル国内でも出ているが、警察は今の所、これを否定している。
<人々の反応>
東エルサレムや西岸地区では、確実にテロが増えて来ているが、西エルサレムは、いつもと変わらない土曜の夜を迎えている。これを平和というのか、なんというのか。
なんとなく不穏になってきているような感じはだれもが持っているとは思うが、こうした事態と同居しているのがイスラエルなので、人々は今日もかわらず日常生活を続けるのである。
なお、エルサレムでは、日曜日の日没から祭りの最終日となり、大勢が嘆きの壁や町にあふれかえる。治安部隊は、どう治安を守るのか、大きなチャレンジである。
ニューヨークに行っているネタニヤフ首相は日曜に帰国予定。