目次
ロシアがハマスとパレスチナ14組織をモスクワへ招待
ロシアでは、17日、反政権派だったナワリヌイ氏が死亡したことで、ロシア内外で、プーチン大統領の陰謀ではないかとの物議が広がっている。
こうした中、パレスチナ自治政府(PA)のシュタイエ首相が明らかにしたところによると、ロシアが、ハマスとイスラム聖戦、パレスチナ自治政府を含む14のパレスチナ団体をモスクワに招待したという。会議は、3月26日の予定。
ロシアは、昨年10月26日(戦争勃発の後)にも、ハマス代表とイラン代表をモスクワに招いて会議を行っていた。目的は、「アメリカと西側が支援するシオニスト問題について」であった。
イランは、ロシアにドローンを供給している国である。それが、ハマスと会っているということは、イスラエルにとっても懸念材料である。イスラエルは、戦争中なのにハマスを招いたロシアの行動に「不快感」を表明していた。
www.timesofisrael.com/moscow-hosts-hamas-delegation-and-irans-deputy-fm-prompting-israeli-outrage/
しかし、ハマスの代表はその後も何度かロシアに招かれ、モスクワを訪問していた。ロシアとハマスの関係は決して浅くないといえる。
今、ロシアは、欧米の支援疲れを受けて、ウクライナが弱体化しつつあり、勢いづいている。そうした中で、ロシアに、パレスチナ人組織が最大14も集まれば、世界に中東におけるロシアの威力を見せつける形になりうる。
パレスチナ自治政府よりハマスの方が優勢?
パレスチナ自治政府(PA)は、故アラファト議長に遡るPLOが中心になっている。PAは基本的にイスラエルの存在は認めるという前提の中で、イスラエルとの交渉を行ってきた。しかし、ハマスとイスラム聖戦は、イスラエルの存在を認めないので、PAとは立場が違っている。
このため、2007年に、ハマスはガザからPAを追放し、ガザを支配することになったのである。この関係は修復がこれまでからも何度か試みられたが、うまくいったことはなかった。西岸地区のパレスチナ人の間では、PAの支持率が下がって、ハマスの支持率が上がる傾向にある。ハマスがPAと和解ではなく、PAにとってかわる可能性の方が現実的といえるからである。
昨年12月に行われた調査では、西岸地区のパレスチナ人の88%が今のPAのアッバス議長は退陣すべきと答えていた。逆にハマスを支持すると答えた人は、戦前より12%上がって、44%となっていた。これについてガザでは、4%上がって42%であった。
www.jpost.com/israel-hamas-war/article-787743
しかし、このことからわかることは、ハマスがガザだけで終わらない存在だということである。モスクワにもしハマスの代表が出てきたとしたら、それは、ガザ以外のところから出てくるしかない。
その代表が、ひょっとして、パレスチナ自治政府で大きな勢力を占めるようになったら、イスラエルはこれをどうとらえるだろうか。26日、モスクワでどういう流れになるか注目される。