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パレスチナとイスラエル相次ぐ暴力事件
西岸地区では、イスラエル軍の取り締まり中の衝突で死亡するパレスチナ人が相次ぎ、今年に入ってからだけで48人となっている。そのほとんどは若者たちである。
一方、イスラエルでも、ここ2週間ほどの間に、幼い子供2人を含む10人が、テロの犠牲となった。このため、西岸地区の違法前哨地にいる過激ユダヤ人たちが、報復攻撃にも出始めている。
12日、パレスチナ人の村カラワット・バニ・ハッサン付近で、マスカル・ライアンさん(27)が、違法前哨地ハバット・ヤイルのユダヤ人入植者たち約30人に襲われ、頭を撃たれて死亡した。入植者たちによると、ライアンさんらが投石してきたことによる反撃だったようだが、イスラエル軍は詳しい捜査中である。
この他、入植者たちによるパレスチナ人の車両などへの落書きや破壊行為等も発生している。
パレスチナ人からは、13日、エルサレム旧市街の神殿の丘入り口付近で、14歳のパレスチナ少年が、17歳のユダヤ人少年を指して負傷させた。
その数時間後の13日夜、東エルサレムのシュワハット難民キャンプ近くの検問所で、13歳の少年がナイフを出して、国境警備員アシル・サワドさん(22)を刺して負傷させた。
この時、付近のバスの中にいた、民間警備員がテロリストを撃とうとして、あやまってアシドさんの頭を撃ってしまった。アシドさんは、病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。両方の少年と、その家族は逮捕されている。
翌日14日早朝には、イスラエル軍が、西岸地区ファラ難民キャンプへの踏み込み捜査を行い、指名手配テロリスト2人と21人、計23人を逮捕した。この時の衝突で、パレスチナ人のマフムード・アル・アヤディ(17)が死亡した。
政府が、テロへの報復として、西岸地区前哨地で違法とされる9カ所を、合法化すると発表。パレスチナ人自治政府は、国連安保理にこれを非難する訴えを出し、双方の憎悪がエスカレートしている。
国内治安相ベン・グビル氏とネタニヤフ首相・シャブタイ警察庁長官不一致
国境警備隊員(警察所管)が死亡するにいたるテロの様相になっていることを受けて、極右であるにもかかわらず、警察を管轄する国内治安相に任命されたベン・グビル氏は、今この時期に、東エルサレムの違法なパレスチナ人の家を破壊すると主張した。
先に政府が、テロへの報復として、西岸地区前哨地9か所を合法化すると発表して以来、パレスチナ自治政府が国連安保理にそれに対処するよう訴えを起こし、アメリカ始め国際社会からイスラエルへの批判が相次いでいるところである。
そのような時期に、東エルサレムのパレスチナ人の家を破壊するとなると、パレスチナ人たちのテロをさらに煽ることになり、国際社会から、イスラエルは、孤立を深めることになる。
ネタニヤフ首相と、シャブタイ警察庁長官が、ベン・グビル氏の考えに反対を伝えたが、3者はどなりあっていたという。ベン・グビル氏は、このような繊細で重要な役職の経験がない上に、極右とされる人物なので、彼を抑え込むこともまた課題であるようである。