目次
感染拡大顕著・重症者・死者も増加中
1)感染拡大は今がピークか?
イスラエルでは、総人口945万人の小さな国だが、毎日40数万件以上のPCRと抗原検査を実施している。そのせいかもしれないが、感染者数は、24日の1日で、8万3663人を記録した。陽性率は22.21%である。
政府コロナ顧問のエラン・シーガル博士によると、この2週間の間だけで、イスラエル人85万人の感染が明らかになった。しかし、実際には、無症状で検査はしていない人の中にも感染者がいると予測されるので、実際の感染者は、この数倍はいるとの見方もある。
閣僚たちの中では、ラピード外相、リーバーマン経済相が感染し、先週金曜にはガンツ防衛相(62)も感染していることがわかった。ガンツ防衛相はワクチン4回接種していた。24日には、ラズボゾブ観光相も感染がわかった。いずれも無症状らしく、問題にはなっていない。
www.timesofisrael.com/gantz-becomes-latest-government-minister-to-catch-covid-19/
イスラエルは、おそらく、今がピークで、一番感染しやすい時期に入っていると考えられ、これから先、2月初旬からは、感染者数が減少しはじめるとの予想も出ている。しかし、保証はないとシーガル博士も慎重姿勢を崩していない。
2)重症者と死者はまだ増える見通し
保健省によると、現在、無症状ではなく、発症しているイスラエル人は55万751人。人口のおよそ20人に1人近くが発症していることになる。入院しているのは2173人。重症者は817人と毎週倍増している。
人工呼吸器依存(基本的に集中治療室)は163人。コロナによる死者は、先週1週間の間に126人で、前週の10人からすると、80%も増えた。今の感染者数がすさまじいので、今後しばらくは、重症者と死者が増えると覚悟しなければならないとシーガル博士は語っている。
前コロナ担当ガムズ博士によると、とりあえず今のところは、イスラエルの病院の病床使用率は、50%にも至っておらず、すべてコントロールできているとのこと。しかし、ガムズ教授も次の波が来る可能性も否定はしていない。
現コロナ担当のアシュ博士は、病院に対し、今後、緊急性のない患者の手術などを延期させるといった事態になる可能性があるので、その準備をするよう、指示した。
感染対策変更:ワクチン4回目は60歳以上高齢者では効果あり?
1)子供の隔離政策を廃止(週2回家庭で検査実施)
オミクロン株については、子供たちの間で感染が拡大する傾向にあった。子供が隔離に入ると、学業に影響がでるだけでなく、その親も隔離に入って、社会がまわらないという結果になっている。このため、20日、政府は、18歳以下の子供の隔離を、基本的に停止することを決めた。
しかし、無条件で登校させるということではない。全家庭に簡易抗原検査を大量に無料配布し、毎週日曜と水曜に、家庭で子供たちの検査を行ってもらい、陰性であれば、登校を許可する。陽性であった場合は、隔離してPCR検査に進む。後に陰性になれば、登校してよいということになる。この新しい方針は、今週からスタートしているもようである。
www.timesofisrael.com/liveblog_entry/ministers-unveil-plan-to-reduce-quarantine-for-schoolchildren/
2)グリーンパス廃止検討中
イスラエルでは、ワクチン接種後半年以内か、感染して回復した場合、未接種者でもPCR検査(有料)陰性であれば、グリーンパスを発行していた。これをもってイベント会場などへ入場できていた。
しかし、2月1日からは、これまでに発行したグリーンパスが、有効期限を迎える。保健省では、ワクチン接種者でも、かなりブレークスルーが多いことから、このままパスを延長するのか、破棄にするのか、検討が続けられている。おそらくは、病院や高齢者施設での提示だけになる可能性が高い。
www.timesofisrael.com/health-ministry-experts-recommends-scrapping-green-pass/
3)4回目ワクチンは高齢者で実施
ワクチンの4回目接種について、オミクロン株については、先にあまり効果がないと発表されていた。しかし、その後、保健省は、高齢者だけのデータでみると、4回目接種後に抗体が3倍にまで回復していたと発表。高齢者には4回目接種の奨励を継続するとのこと。
www.timesofisrael.com/health-ministry-4th-dose-triples-protection-from-serious-illness-for-over-60s/
イスラエルでは、これまでに2回接種を終えた人は、606万人、3回接種を終えた人は、約443万人。4回目接種を受けた人は、60万人。(総人口945万人)
オミクロン株はパンデミック終了をもたらすか
オミクロン株は、これまでの株より肺炎を併発する確率が6分の1と、重症化させる率が低いことがわかってきている。
また、政府コロナ対策顧問のエラン・シーガル教授は、今の感染のペースで行くと、まもなくイスラエル人の300万人(総人口の3分の1)が感染すると予想する。そうなると、集団免疫や、通常のエンデミックになっていく可能性も考えられるわけである。
ヘブライ大学の統計学のナダブ・カッツ教授は、イスラエルは、どちらかというと、イギリスのコロナ情勢の流れに似ていると語る。そのイギリスは、一時膨大な感染拡大を見たが、今は減少に転じ、制限を解除する段階にある。
前コロナ担当のガムズ教授は、まだ次の波が来る可能性も否定しない中だが、この春か夏までには、パンデミックが終わりに向かっている可能性も示唆する。
しかし、現時点においては、やはりまだコロナが未知の感染であることと、今はまだ重症者が増える段階でもあるので、専門家たちは、まだ油断はできないと釘をさしている。
なお、イスラエルは今、感染拡大のピークにあるが、感染関連の隔離措置以外で、社会的な行動抑制はしていないので、マーケットなどの人流は通常のようである。(以下はエルサレムのマハネイ・ヤフダ・マーケットの様子)
あたりまえの感染予防をするとともに、特にハイリスクの人々や高齢者が守られ、病院を塞いでいくようなことにならないようにと祈る。