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アメリカからは、ここしばらく、難しいニュースが相次いでいる。政治的には、中国との台湾危機、ロシアとのウクライナ危機、中東からの米軍撤退とイランとの核合意も座礁に乗り上げたままであることはお伝えしている通りである。
そして、クリスマスまであと10日足らずとなった、10-11日、史上最悪とみられる竜巻が、ケンタッキー主など6つの州で発生し、大災害の爪痕を残している。続いて15日からは、ミズーリ州など中央部の州で、最大風力50メートル近い大暴風雨にみまわれ、人々が避難を余儀なくされた。
さらに今週、アメリカでのコロナによる死者が、80万人を超えたと発表された。オミクロン株の感染も急拡大中である。災難続きのアメリカだが、インフレが急速にすすんでおり、1990年代以来の上昇率となった。アメリカで続く患難を覚えてとりなしていただければと思う。
クリスマス直前にアメリカ史上最悪の竜巻:88人死亡確認・120人不明・1000棟以上全壊
10日夜から11日にかけて、30近い竜巻が、アメリカ南西部ケンタッキー州など5州を襲った。その壮絶な被害については、日本のニュースでも日々報じられていた。被害を受けた家屋は1000棟を超え、その様子は、まるで津波の後のようである。
災害発生から72時間を経過して以後、これまでの調べで、5州で合わせて、子供12人を含む88人の死亡が確認された。しかし、ケンタッキー州の被災地中心部のメイフィールドでは、まだ122人の行方がわかっておらず、被害は拡大する見通しである。15日現在で、まだ1万世帯が停電しているとのことであった。
この竜巻は、この時期にこの地域では異常なことであったが、竜巻の警報は出されていたという。しかし、特に被害が大きかったメイフィールドの蝋燭工場では、クリスマス前であったことから、計画通り夜を徹しての製造作業を行なっていた。家族を失った人の中には、この日は工場を稼働させるべきではなかったと、怒りを表明している人もいる。
また、被災地に3つの会社を経営していたが、保険も十分にないまま、まったくに全てを失い、これからどうするのか、まったくわからなくなったと途方にくれている人もある。
*被災地の写真(Before/After)
www.nytimes.com/interactive/2021/12/15/us/mayfield-kentucky-tornado-damage.html
被災から今日で1週間になるが、被災地周辺では、軍などが復旧作業する中、近隣からはボランティアが集まり、復興にとりかかっているもようである。竜巻に吹き飛ばされたもので、個人が特定できるものは、個人に戻されるなどの動きもある。
バイデン大統領は15日、ケンタッキー州のメイフィールドなど直撃を受けた被災地を訪問。復旧にかかる費用を国が負担すると述べた。あまりにも被害が甚大なので、対立する中国の習近平国家主席が、バイデン大統領に見舞いのメッセージを送ったとのこと。
*被災地教会の様子
今回の竜巻では多くの教会が被災した。First Baptist Churchでもあらゆる施設が破壊された。しかし、建物の外壁と窓が吹っ飛んだが、その後ろにあった十字架は残ってはっきり見えるようになっている。災害直後の日曜もこの教会では礼拝している。牧師は、「私たちはイエス・キリストを信頼する。」と宣言している。
また、メイフィールドで最も被害が大きかった蝋燭工場から3キロの地点にあるNorthern Church of Christは、教会HPによると、水道や電気は止まっているが、建物は無事だった。教会員たちの中には、家や会社を失った人はいるが、全員生存は確認されたとのこと。
災害発生以後から、教会には、支援要請が殺到しており、母教会の分室とを拠点に支援活動を開始している。ボランティアや支援物資を受け付けている。このほか、サマリタンズ・パースなど、クリスチャン団体による支援物資搬入や、ボランティア活動もはじまっている。
なお、週末に、ケンタッキー州などで季節外れのスーパー竜巻が甚大な被害をもたらしたわずか数日後、15日から、再びアメリカ中央のカンサス州などが、大暴風雨にみまわれている。瞬間最大風力は一時50メートル近くになり、アイオワ州では、竜巻警報も出された。アメリカはまさに地球温暖化に関係するとみられる自然災害の直撃を受けているもようである。
www.nytimes.com/live/2021/12/15/us/midwest-storms-tornado-news
アメリカのコロナ死者80万人突破で平均寿命1.5年短縮:オミクロン株も感染拡大中
ニューヨークタイムスが発表したところによると、世界で最も感染拡大が深刻なアメリカの死者数が、80万人を超えた。全世界のコロナによる死者数は、535万人なので、アメリカでの死者数はその15%にあたる。
80万人のうち、75%は65歳以上の高齢者であった。これまでにアメリカの高齢者100人に1人が死亡した計算になる。これにより、アメリカの平均余命が2020年に比べて2021年は、1.5年も短くなった。これは第二人世界大戦以来だという。(CDC発表)
また、コロナで死亡した80万人のうちの10万人は、ここ最近11週間(3ヶ月弱)の間に亡くなっていた。今も毎日平均1200人のペースで死亡しており、死者のペースが上がっていると懸念されている。
デルタ株感染に加えて、オミクロン株が、アメリカでも急速に感染拡大している。15日24時間(Worldmeter)の新規感染者は13万6590人で、死者は1650人。いうまでもなく、世界最悪のスピードである。
CDC(アメリカ疾病予防センター)によると、新規感染者のうちのオミクロン株の割合は、先々週の0.4%であったところ、先週は2.9%と大きく上回った。特に感染拡大が深刻なニューヨークや、ニュージャージーでは、13.1%である。
CDCは、冬でインフルエンザが流行る来月、デルタとオミクロン両方の波が来るのではないかと懸念している。
www.nytimes.com/2021/12/14/science/omicron-cdc.html
39年ぶりのインフレ上昇率:バイデン政権(民主党)窮地
自然災害、コロナと困難続くアメリカだが、今年11月、消費者物価指数が6.8%と上昇し、39年ぶりの水準を記録した。BBCによると、たとえばガソリンが、一回満タンにするのに以前は23ドルぐらいだったのが、今は30ドル。スーパーでの1回の支払いは、以前は40-50ドルであったものが、今は60ドルと超えるという感じである。また1ドルショップが、今は1.25ドルショップになったとのこと。
このインフレは一過性ではなく、長期化するとみられることから、FRB(米連邦準備理事会)の介入、量的金融緩和(政府が国債を買って市場に金の量を増やす)の縮小を前倒しで実施するというニュースが出ている。
www.nikkei.com/article/DGXZQOUB161C10W1A211C2000000/
このインフレについては、様々な要因がある中、バイデン政権が、すでに給付金が2回支給された上に、さらに今年3月に実施した国民一人当たり1400ドル(15万円)の特別給付金の支給が問題視されている。金が市場に出回りすぎたことで需要が、生産を大きく上回ったために、インフラを押し上げてしまったということである。
今の急激なインフレはバイデン政権の失策だと見る国民が60%を超えており、バイデン政権と民主党が、窮地に立たされていると言われている。
news.yahoo.co.jp/articles/aea5388082978bc06a3d4573b2bbeacccd4196f1?page=2
石のひとりごと
アメリカは今、中国、ロシア、イランと世界の中で3つの最前線を抱えている。加えて今、自然災害だけでなく、社会のあらゆる分野でのバランスが崩れ、これまでの理論的な知恵だけでは、やっていけない時代になっている。世界は今、本当に新たな時代に入ったのだろう。
あまりにもたたかれっぱなしのアメリカを見ていると、これまでクリスチャンの国として、日本を含め世界を祝福してきたアメリカのために、こんどはとりなさなければと感じている。最後まで読んでくださった読者に感謝。