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ガザからの火炎風船で火災:ガザへの攻撃も続く
イスラエル南部では、イスラエルによる報復の空爆にもかかわらず、火炎風船による火災が続いている。畑や森、国立公園ベエリも被害を受けた。
この土曜にも被害を受けたことから、土曜夜、イスラエル軍はガザの火炎風船発射地とみられるハマス関係地点を空爆した。この攻撃による死者は報告されていない。
ネタニヤフ前首相は、火炎風船による攻撃には必ずしも反撃を行わなかった。風船に対して最新式戦闘機の空爆ではあまりにも差があるからであろう。
しかし、ベネット首相は、「方針は変わった」として、イスラエルは戦闘もガザ市民への被害も望んでいないと強調しつつ、暴力には厳しく対処すると述べた。
www.timesofisrael.com/bennett-on-gaza-strikes-in-response-to-arson-balloons-things-have-changed/
しかし同時に、ガザ市民への人道支援は行うとして、カタールからの現金を、国連が管理することを条件に、市民に配布できるようにすると発表した。ハマスはこれに反発はしていない。
ガザ市民への現金配布再開について
ガザ市民へは、これまでからも、イスラエルを通してカタールが現金をガザへ持ち込んで配布するという支援が行われてきた。ガザ内部に食料などがないわけではなく、市民に金がないので、買えないからである。
5月の戦闘が停戦になって以来、イスラエルはすでに人道支援物資と、ガソリン(カタール出資)などの燃料も搬入も再開させている。しかし、現金配布については、まだ再開されていなかった。
ベネット首相は、現金が、絶対にハマスに流れないよう、銀行からの送金ではなく、国連が、現金を配布することを条件に、市民へのカタールからの現金配布に合意したとパレスチナのメディアが伝えた。
正式には、現金がラマラのパレスチナ自治政府を経由して、国連組織が、ガザ市民に配布するもので、イスラエルは、その通過を認めるということである。
国連もこれに合意したのこと。
www.timesofisrael.com/un-agrees-to-take-over-distribution-of-qatari-funds-in-gaza-report/
これが決まったのは、土曜夜にイスラエルが、火炎風船に対する報復として、ハマスを空爆した直後であった。ベネット政権の方針は、ハマスには攻撃を、ガザ市民には人道支援の両輪のようである。
ベネット首相は、カタール意外の、たとえばドイツなどヨーロッパからも支援金が届くことを強く要請すると発表した。
www.timesofisrael.com/israel-said-seeking-european-donors-to-provide-gaza-funding-alongside-qatar/
ところで、イスラエルは、エジプトを通じて行なっていたハマスとの人質返還にむけた交渉に失敗。使節団がエジプトから帰国したところである。
これについて、カタールからの現金搬入容認が、ハマスとの対話再開に結び付いたかどうかは不明だが、エジプトを介したハマスとの交渉は、今週にも再開されるとのこと。
中東では、すべてが交渉で決まっており、メディアに表立って出てくるのは、そのごく一部である。
ベネット首相の言動からしても、イスラエルにとっては、とにかくも、戦闘を避けるということが最優先、人質を取り戻すということの優先順位も高いということのようである。