イギリスがハマスをテロ組織に指定へ:イスラエルは感謝表明 2021.11.22

Palestinian boys queue to register for a summer camp organised by the Ezz-Al Din Al-Qassam Brigades in Gaza City on June 14, 2021. (Photo by MAHMUD HAMS / AFP)

19日、イギリスのプリティ・パテル内務相は、ハマスを政治部門、軍事部門の区別なく、テロ組織に指定するとの法案を議会に提出すると発表した。

イギリスは、2001年に、ハマスの軍事部門はテロ組織と指定したが、政治部門はそこから外していたので、ハマスを支持すること、献金も可能な状態が続いていたのであった。

しかし、今回出された法案が通ると、イギリス人がハマスのメンバーになること、またハマスへの支持を表明することが違法となる。当然、ハマスへの支援送金はできなくなる。

パテル内務相は、「ハマスは、高度な武器を購入し、テロリストを訓練する施設も保有するテロ組織である。ハマスは、基本的に恐ろしいばかりに反ユダヤ主義的なので、このイギリスの政策は、特にユダヤ人社会にとって大きな意味を持つだろう。」と、訪問先のワシントンで語っている。

BBCによると、法案は議会で論議された後、施行されるのは、11月26日からになる見通しとのこと。

www.bbc.com/news/uk-59346441

イギリスのこの動きについて、イスラエルからはまずラピード外相が、イギリスのこの動きを歓迎するとして、パテル国内治安相に感謝すると述べた。

続いて、ベネット首相が、イギリスのジョンソン首相に、そのリーダーシップでこの問題に決断したと賞賛し、感謝を述べた。Times of Israel は、イギリスのこの決断の背景に、モサドがイギリスで、詳しい報告をしていたと伝えている。

なお、アメリカとEUはすでに、ハマスをテロ組織に指定している。

www.timesofisrael.com/israel-cheers-expected-uk-designation-of-hamas-as-terror-group/

ハマスは、イギリスのこの動きについて、「イギリスはパレスチナ人に対する歴史的な悪事(1917年にバルフォア宣言を出してイスラエルを認める宣言を出した)を謝罪せず、強圧者側に立っている」と反発を表明した。

www.aljazeera.com/news/2021/11/19/uk-moves-to-ban-hamas-as-terrorist-organisation

<ヘルツォグ大統領のイギリス訪問>

ヘルツォグ大統領は21日から、3日間の予定でイギリスを訪問している。イギリスではチャールズ皇太子、ジョンソン首相、トラス外相と会談。イギリス議員や、ユダヤ人コミュニティの指導者たちとも会談する。

大統領のイギリス訪問の直前に、イギリス政府のハマスへの対応が発表されたので、この件について、話し合われると思われる。

また、今回の訪問では、特に悪化する反ユダヤ主義について、また、暗礁に乗り上げているイランとの核合意再開問題について、イスラエルは、イランが核保有国になることを認めるわけにはいかないという事情をイギリスに伝えるとみられている。

言い換えれば、イランとの核合意が再開できない場合は、イスラエルがイランを攻撃することについて、理解を求めるということである。この件については、COP26の際、ベネット首相もジョンソン首相と話し合ったところである。

www.timesofisrael.com/herzog-heads-to-uk-for-meetings-with-prince-charles-boris-johnson/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。