ネタニヤフ首相退陣の声が出始めると、エルサレムでイスラエル建国を支えた異邦人に関するミュージアム、「Friend of Zion」を運営するアメリカの福音派クリスチャン・シオニストのマイク・エバンズ牧師(73)が、チェンジ・ブロック勢の右派ヤミナのベネット氏を批判していることがわかった。
エバンス氏は、ベネット氏に手紙を書き、「あなたは、シオンの保護者などと自称するべきではない。あなたは、代々受け継がれてきたシオニズムとそのために死んでいった人々を裏切り、ムスリム同胞団や左派とともに寝ようとしているのだ。あなたがたは、アメリカの福音派の支持を失った。」と伝えた。
エバンズ氏は8日、リクードとともに、ネタニヤフ首相を支援するイベントを予定しているという。しかし、エルサレムポストは、アメリカの福音派(6000万人)が総じてエバンス氏と同じ考えではないとも伝えている。
以下はネタニヤフ首相から始まるミュージアムのビデオクリップ
アメリカの福音派は、トランプ前大統領を支持していたことで知られたが、イスラエルにおいては、ネタニヤフ首相を支持する傾向にあった。
二人の首脳が、聖書を重視する傾向にある政治家であるからである。ネタニヤフ首相の時代に、イスラエルと福音派の関係は、外交上においては、かなり良くなったと言えるだろう。
しかし、アメリカの福音派リーダーの一人で、カイロス社社長であるジョニー・ムーア・ジュニア氏(38 )は、「福音派がネタニヤフ首相と良い関係にあったのは確かだが、私たちは、イスラエルの指導者が誰であれ、イスラエルを支持するものである。
イスラエルが民主国家なので、国内で決まっていく政治に介入するべきではないと考える。
私たちは、イスラエルの次の指導者とも同じように、よい関係を築いていきたいと思う。」とエルサレムポストの取材で答えている。
こちらもまた、新世代による新時代を迎えているのかもしれない。しかし、繰り返すが、新しい時代を前にして、その前の時代の指導者が、悪いと言うわけではない。彼らの時代があったからこその、新しい時代だからである。
<Friend of Zion Museum:ユダヤ人とクリスチャンの関係改善に貢献>
エルサレムにある「Friend of Zion」Museumは、2015年、マイク・エバンズ氏によって開設された。イスラエル建国に大きな役割を果たした異邦人、主にクリスチャンたちに関する情報をハイテクを使って展示している。
このミュージアムは、ユダヤ人の迫害にキリスト教会が関わっていたという中で、ユダヤ人を命懸けで助けたクリスチャンもいたということを知らせている。紹介しているヒーローは、ウインゲート大佐などだが、その中に日本の杉原千畝氏も含まれている。
エバンズ氏は、多くのクリスチャンたちの支援を受け、このミュージアムを立ち上げ、それを土台にして、ネタニヤフ首相はじめ多数の世界的な指導者たちにもアプローチしたのであった。
また、ミュージアムでは、当初、クリスチャン旅行者を目標としていたが、訪問者の4割近くは、ユダヤ人とのこと。イスラエル軍でも、その教育の一貫として、ミュージアムを訪れている。
マイク・エバンス氏がこのミュージアムを建てたのは、アメリカで反ユダヤ主義を経験したことが始まりだったと語っているが、ミュージアムを通して、ユダヤ人とクリスチャンの関係における癒しの一歩になったといえる。
しかし、一方で、少々政治的すぎることや、いかにも恩着せがましいとして、敬遠するガイド仲間からの声も少なくはなかった。