パレスチナ自治区では、19日の時点で43人の感染者を確認(40人はベツレヘム地域)。ベツレヘムを閉鎖するなどの措置をとっている。このほか、西岸地区では、ホテルや、一部、自治政府建物などを隔離センターをし、1500人を隔離している。
パレスチナ自治政府のサタイヤ首相は、19日、西岸地区ユダヤ人入植地と、東エルサレムで働くパレスチナ人2万50000人に対し、感染拡大防止のため、イスラエル領内にいかないよう、指示した。
ところが、イスラエルで働くパレスチナ人たち(イスラエルから必要な労働力と認められて許可がある人のみ)は、この指示に従わず、イスラエルへ出勤。イスラエル政府の指示にしたがい、そのままイスラエル領内にとどまって仕事を継続する道を選んだ。
感染はイスラエルの方が拡大しているが、労働者たちは、「少しのリスクがあっても、家賃はあるし、家族を養わないといけない。」と言っている。パレスチナ人統計学者のシカキ博士は、自治政府はおそらく、これを放置するとみている。
イスラエルと西岸地区ユダヤ人入植地で働くパレスチナ人は10万人だが、パレスチナ自治区で働くより収入は多い。2018年のデータで言えば、パレスチナ人の総収入180億ドルのうち14%は、イスラエルで働いた人たちが稼いでいたとシカキ博士。
イスラエルは、現在国内で働くパレスチナ人の数を制限しており、入国できるのは、最低限必要な労働力と認めた人に限られている。そのパレスチナ人たちの移動を最小限にするため、毎日パレスチナ側へ帰らず、イスラエル側に滞在することとしたのである。ただし、労働者の宿泊先は、その雇用主が確保することとなっている。
www.ynetnews.com/article/rJi5MQZUL
<パレスチナ人の新型コロナ危機対策に焦るイスラエル:戦闘機でガザに食物届けることも検討>
パレスチナ人たちの間で新型コロナの爆発的感染が発生することを懸念する市民たちは少なくない。法的にだけでなく、人道的な意味合いにおいてでもある。
19日のYnetによると、人口200万人を超えるガザ地区には、検査キットがなんと一つしかないという。重症者が出た場合の人工呼吸器は西岸地区(234万5000人)とガザ地区(210万人)合わせても、70−80台しかない。
ハマスは、感染拡大予防のため、エジプト、イスラエル領国境を閉鎖。西岸地区と同様、隔離センターを設立し、現在2000人を隔離している。
また、ガザ地区ではすでに、医療物資が不足しており、手の消毒用ジェルもない。ハマスは、国際社会に2−3トンの手指消毒用ジェルを要請した。
世界的に国際支援が低下している中、カタールは相変わらず、ガザ地区に1000万ドル(約11億円)、西岸地区に800万ドル(約9億円)の支援を発表した。国連は、ガザへのコロナ対策支援として、90日間、650億ドルのプランを発表した。
コロナ危機ががいつまで続くかはまったく不明で、イスラエルは、最悪の場合、空軍機で、海外から食糧を調達することも検討している。その際は、パレスチナ人たちの不足も含めての調達になるという。
www.ynetnews.com/article/rkIU16gUU
ガザから、ミサイルや、爆弾つき風船で攻撃され、ガザへ反撃の空爆を行っていたイスラエル空軍機だが、近い将来、ガザへ食糧を落とすことになるのだろうか。新型コロナの前に、敵も味方もない。これまでの争いが無意味に見える時代が来るのかもしれない。危機にあって、今、西岸地区の自治政府、またハマスまでもが、イスラエルとの協力に反発していないとのことである。
中国では、しばらく産業が止まっていた間に、大きな問題になっていた公害がクリアになった。イタリア北部では、今も多数の死者が出ていることは心痛むが、その中で水の都ベニスの川が、観光客が押し寄せなくなったことで、水が澄んできたとのことである。
新型コロナは、大きな問題とジレンマ、苦悩と深い悲しみを世界の持ち込んでいるが、世界中で人間がなしえなかったなにかをなしているようでもある。
新型コロナで、私たちの計画は、本当にすべてひっくりかえってしまった。また、私たちにはすべてを理解して予想することが不可能であることが、また明らかになった。聖書の次の言葉が、実感をもって響いてくる。
人の心には多くの計画がある。しかし、主のはかりごとだけが成る。(箴言19:21)