ダビデの町からまた貴重な聖書考古学の発見があった。みつかったのは、わずか1センチほどの第一神殿時代(3000年前)石の重りで、「ベカ」というヘブライ語が彫られている。1ベカは、5.7グラムで、金や銀の計量に使われていたとみられる。
「ベカ」が聖書に最初に出てくるのは、創世記24:22。アブラハムのしもべエリエゼルが、イサクの妻になるリブカに贈った金の飾り輪が1ベカと書かれている。
また1ベカは、聖所のシェケルの半シェケルを表すことが、出エジプト38:26に書かれている。20歳以上の者は、登録の際、1ベカ分の金を支払っていた。この1ベカ、すなわち半シェケルは、イエス時代にも、神殿の税金として、納められいたものである。
今回のベカ石は、エルサレムで、土をふるいにかけるプロジェクトに参加していたボランティアによって発見された。
その土は、嘆きの壁から南にあるロビンソンアーチ(神殿の丘に上がる入り口として使われていたアーチのあと)の下で、シロアムの池(ダビデの町)から神殿に上っていく階段の下にある下水道付近。いいかえれば、ソロモンの神殿に近い地点ということである。
考古学者のエリ・シュクロン氏によると、これまでにも同じ重りはいくつか発見されているが、「ベカ」という文字がこれほどはっきりとみえるものはこれが初めてだという。
ただし、その文字は鏡にうつったように逆方向になっており、いわば失敗作とみられている。しかし、この失敗から、重りをつくっていたのが、王などが用いた印鑑を作る細工人であったことがわかる。