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イスラエルでは、懸念されていた感染拡大が始まり、第5波に入ったとみられている。すでに、ジェットコースターのような方針転換が、始まっており、国民の間では混乱が広がっている。
1日7596人入院210人第5波の様相:PCR検査に長蛇の列
保健省によると、2日、1日の感染者が6500人を超えた。その翌3日には、さらに1000人増えて7596人となった。陽性率は、5.6%で、実効再生産数は1.88である。
入院患者も3日、前日より100人増えて210人と倍増。このうち108人が重症に陥っている。しかし、死者数は、12月21日以降、4人にとどまっている。
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特に感染拡大が著しい赤地域は、テルアビブ、ヘルツエリア、ベイトシェメシュ、ナザレなど、すでに57地域となっている。
各地のPCR検査場では、検査を希望する人々で長蛇の列となり、数時間待ち状態となった。検査キットも不足する事態である。検査場での混雑で、感染拡大も懸念されている。
ベネット首相は、2日夜、オンラインで記者会見を行った。ベネット首相は、これまで時間稼ぎできたことを評価した上で、まだピークに達しておらず、これから1日に2万人から5万人の感染になる可能性があると警告した。
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アメリカでは、1日の感染者数が40万人にもなっている。専門家は、イスラエルでもに、これから3週間ほどの間に、全国民の30%近く(3-4人に1人)が、オミクロン株に感染すると予測している。
イスラエルで3日の1日の間に行われたPCR検査は30万回であった。しかし、検査体制には限界があることから、今後、誰を優先的に検査するのかを考えなければならなくなっているとのこと。ベネット首相は、国民に対し、検査場が追いつかないことへの忍耐と理解を求めた。
また、コロナ感染拡大で、大きな影響を受けているのが教育機関である。これまでに、小学校の1500のクラスがオンラインとなり、登校できるところでは、陰性証明のグリーンパスシステムが導入されている。
この場合、大勢がPCRの列に並ぶことになるため、近く簡易の抗原検査になるみこみ。またワクチンを終えている子供は、隔離なしで登校できるようになるとのこと。複数の子供を持つ親たちの混乱が目に浮かぶようである。
עומסים כבדים גם היום במתחמי בדיקות קורונה ברחבי הארץ. תור ארוך נרשם במתחם בית אריאלה בתל אביב@Nov_reuveny pic.twitter.com/BO6SKjQDQY
— כאן חדשות (@kann_news) January 2, 2022
9日から条件付きで一部外国人の入国再開へ
イスラエルでは、感染の急拡大となっているが、すでに市中感染になっており、海外から流入する人からの感染は5%のみという結果になっている。このためベネット首相は、空港を閉じる意味がないとして、来週9日から、条件つきで、ワクチン接種済みの外国人観光客の入国を一部、再開すると発表した。
赤ではなくオレンジに分類されている199カ国については、ワクチン接種を終えているか、感染して回復しているとの証明があれば、入国の前後でPCR検査を受けることで、入国が可能となる。
隔離期間は、検査結果が出るまでのみで、これまでのように3日間隔離の義務は免除される。これに伴い、フランス、カナダ、スペイン、南アフリカなど、現在、赤に分類されている国をオレンジに戻すとした。これらの国々も、上記と同様の扱いになる。
今後も赤に分類し、外国人だけでなく、イスラエル人についても、特別な許可がない限りは、渡航を禁止する国として残すのは、アメリカ、イギリス、UAE、スイス、トルコ、タンザニア、エチオピア、スイスとなっている。
集団免疫になるか否か・ロックダウンか否か:いずれにしてもワクチン接種を
これほどに感染が人がっているのに、検査に限界が来ていることと、事実上のロックダウンを避けるために隔離期間を短縮するなど、対策としてはどうにも逆方向の感じもある。
また、実際には、検査キットが不足しているので、無症状で感染がわからないままになっている人も相当数出てくるだろう。このままいけば、集団免疫しかないのでは・・・とも言われているところである。
しかし、政府は、その方針ではないと言っている。集団免疫とは、もはや感染するがままにして、多くの人が自然抗体を持つようにするという方針のことで、その中で出てくる犠牲は受け入れるという考え方である。
1人の命を何よりも重視するイスラエル政府が、この考え方を採用することことは考えにくい。しかし、今の場合、いろいろ頑張ったが、実質そうなってしまった・・・ということになりそう・・ということである。
医療の専門家の中には、拡大している感染は、重症化率が低いとされるオミクロン株だけでなく、危険なデルタ株への感染もあるとして、集団感染の考え方で、対策解除へのアクセルを踏むことはまだ危険だという人もいる。
気になるニュースは、コロナとインフルエンザにダブルで感染した人が確認されたことである。患者は、妊婦で、ワクチン接種をしていない人であった。また、フランスで、さらに新しい株に感染した人が12人みつかったというニュースも入っている。
www.jpost.com/health-and-wellness/coronavirus/article-691458
ホロビッツ保健相によると、コロナ閣議の中では、まだロックダウンもテーブルに上がっていたという。ホロビッツ保健相は、もし、今後重症者が増えて、医療を圧迫するようになれば、ロックダウンの選択肢もまだ残されていると語っている。
論議が続く中、生物学統計の専門であるワイツマン研究所のエラン・シーガル博士は、イスラエルでも最終的には、3週間ぐらいをピークに、イスラエル人のほとんど皆がオミクロン株に感染し、その後感染者数が降下しはじめるだろうと語っている。
「集団免疫」という言葉は使ってないが、実質的にはそうなっていくと言っているということである。
今、空港を開き、隔離を短縮する政府の方針が、悪い方向ではなく、集団免疫というよい方向にひっぱってくれることを祈りたい。