混乱続く中東情勢とコロナ 2020.6.27

イエメンで膨張する墓地 出展:アルジャジーラ スクリーンショット

世界中がコロナ問題に振り回されている中、中東では、特に先週から、きなくさい状況になりつつあると懸念されている。主な課題はイランのようだが、イランに関連して、様々な組織と国が、複雑に入れ混じって争ったり、近づいたりしている。

今はアメリカがまだ中東に駐留しているので、大きな戦争はなんとか抑えられているが、今後、アメリカがコロナ問題や経済などで、中東から撤退した場合、この地域一帯が、収拾のつかない戦争になるとの想像は難くない。

1)イラク

イラク軍対テロ軍が、イラン傀儡グループ(カタリブ・ヒズボラ)を攻撃。このグループは、イラクに駐留している米軍への攻撃を続けている。米軍も、昨年からこのグループに対する空爆を実施。最終的にイラクでイラン軍のスレイマニ総司令官を暗殺したのであった。

2)イラン

26日夜、テヘラン郊外で大きな爆発があった。この地域は、核開発に関係する施設があると言われていた地域であるため、テロが懸念されたが、、イランが、工業ガスタンクの爆発であり、軍事施設との関連は否定した。イランによると、死傷者はないとのこと。

3)サウジアラビア

イラン(シーア派)と、サウジアラビア(スンニ派)は、イエメンで代理戦争を続けている。先週から、イラン傀儡の反政府勢力フーシ派が、ドローンやミサイルを使って、サウジアラビアへの攻撃を行っている。

4)トルコ

イラクによると、先週、トルコがイラクのクルド人組織(PKK)を攻撃したが、クルド人だけでなく、ヤジディ、キリスト教徒なども被害を受けたとのこと。

5)リビア

リビアでは、トルコ傀儡政府と、エジプト傀儡の反政府軍が戦闘状態にある。そこに、サウジアラビアとアラブ首長国連邦、ロシアが介入し、トルコが支援するトルコ政府側につく形となった。

<上記の中東諸国のコロナ問題:26日 Worldmeter>

イラン:21万7724人(+2628人)、死者は、1万239人(+109人)

トルコ:19万5745人(+1396人)、死者は、5065人(+19人)

サウジアラビア:17万4577人(+3938人)、死者は、1474人(+46人)

イラク:4万1193人(+2054人)、死者は、1559人(+122人)

*数字がまったくあてにならない国々:シリア、イエメンなど

中東での感染者数は日に数千人、死者も日に100人を超えるところも少なくない。特にイエメンでは、内戦ですでに餓死者が出るほどの食糧難で、医療施設もほとんど機能しておらず、肺炎患者に酸素すらいきわたらない。手洗いもできないとのことであった。

アルジャジーラによると、墓地はこれまでになく拡大を続けているという。

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<石のひとりごと:中東情勢と米軍>

 

イラクにいる米軍
出展:Wikipedia

新型コロナの恐ろしい点は、「ただの風邪だ。」という意見も出せる国があると思えば、このように、恐ろしいほどに死者を出している国もある。恐るべきか、恐れすぎないべきか。。このしたたかさが、このウイルスの恐ろしいところだろうか。

中東はこれからどうなっていくだろう。アメリカ軍がいつまで持ちこたえるかが、大きな鍵の一つになるだろう。激しい憎しみと敵意、戦争だけでなく、疫病にも対処しながらそこにいる米軍の兵士たちは、その家族は、どうしているのだろうか。

調査によると、日本人は、コロナ感染は自業自得だと考える人が、10人に1人いるという結果が出ている。いうまでもなく、これは世界唯一でダントツである。中東の人々の苦しみなど、ほとんど眼中にないということだろう。しかし、アメリカはまだ軍をそこに置いているわけである。

しかし、イランやイラク、中東全域で、救われる人が、多く起こされていくという情報を時々耳にする。救われる人が全員救われるまで、その時が来るまでは、主がこの地域を守ってくださることだろう。米軍はそのためにも用いられている要素の一つかもしれない。

大きな困難の中にある、アメリカを主が顧みて支えてくださるように。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。