国民の要望に反して、右派リクードのネタニヤフ首相と、中道左派青白党ガンツ氏の国家統一政権は、今回も不可能との流れであった。ところが、新型コロナ危機に直面していることから、ネタニヤフ首相が、ガンツ氏に、緊急統一政権の立ち上げを打診。ガンツ氏がこれに応じる姿勢を表明した。
www.timesofisrael.com/netanyahu-gantz-discuss-creation-of-emergency-unity-government/
これは、ネタニヤフ首相、ガンツ氏双方ともに政権をとれず、4回目総選挙になるかとの声が出始めたところでの出来事であり、皮肉にも、新型コロナ危機に、妥協へと、押し出された形である。
これまでの現状は以下の通り。まったくの行き詰まり状態であった。
1)ネタニヤフ首相降板の危機
これに先立ち、ネタニヤフ首相は、総選挙結果で、右派グループ58議席と、過半数に3議席不足し、どうあがいても、過半数にするのは無理とみられていた。さらに、ネタニヤフ首相は、3月17日から予定されている、自身の汚職に関する裁判を延期するよう、司法庁に申し入れたが、司法庁はこれを拒否した。ネタニヤフ首相は、いよいよ降板かとみられていた。
2)ガンツ氏の少数政権も内部からの裏切りで可能性なしへ
選挙直後、リーバーマン氏が、ガンツ氏側につくと表明したことから、もしアラブ統一政権がガンツ氏の連立政権に入った場合、過半数を超えるという流れになっていた。しかし、ガンツ氏たち中道左派陣営は、アラブ政党を連立に入れずに、少数派政権で政権をとるとみられていた。
しかし、少数政権の場合、国会で何かを決めるとなると、必ず、国会15議席を占めるアラブ議員たちの賛成票が必要になる。結局、アラブ人に国の立憲を握られることになると物議になった。
こうした中10日、左派ゲシェル党レビ・アベカシス党首が、「アラブ政党の支持なしに立ち行かないガンツ氏の連立に入る気はない。」と爆弾発言を出した。
これにより、ガンツ氏もまた、少数政権すら立ち上げられないという見通しとなった。ゲシェルと同盟を組んでいた労働党、メレツ党(3党で計7議席)にも、まったく青天の霹靂だったようである。
そういうわけで、もはや、4回目総選挙になるしかない・・・この状況であった。
www.timesofisrael.com/meretz-leaders-savage-levy-abekasis-for-betrayal-in-opposing-gantz-government/
そこへ、新型コロナ危機が深刻化し、今は争っている場合ではないということになったわけである。イスラエルの政治は、本当に何が起こるかわからない、生き物のようである。。