国連総会・イスラエルに即時停戦要求で可決:賛成153反対10  2023.12.13

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国連総会でイスラエルに即時停戦要求で可決

国連安保理で、イスラエルに即時停戦を求める決議が行われた際、反対はアメリカ1国であったが、そのアメリカが拒否権を発動したことで、安保理では否決となった。

前回と同様、グテーレス国連事務総長は、この問題を国連総会(193カ国)でとりあげ、12日、決議が行われた。

このイスラエルに即時停戦を求める国連決議には、ハマスを非難する文言が含まれていない。

これについて、アメリカは、ハマスを非難する文言を、オーストリアが、人質の即時解放を要求する文言を加えた修正案が出したが、いずれも却下されていた。

採択の結果、イスラエルに即時停戦を要求する案に賛成した国は153カ国、反対したのは10カ国、棄権23カ国で、圧倒的可決となった。

反対したのは、アメリカとイスラエル、オーストリア、チェコ、グアテマラ、リベリア、ミクロネシア、ナウル。パプアニューギニア、パラグアイの10カ国。日本は賛成票を投じていた。

この決議に強制力はないが、確かな国際社会のコンセンサスを示すものとして、イスラエルへの大きな圧力になる。

パレスチナ自治政府のマンスール国連大使は、「歴史的な結果」と評価した。

停戦はハマスのシンワルに要請すべき:イスラエルのエルダン代表

イスラエルのエルダン国連代表は、「停戦は、大量虐殺のテロリストを温存させ、地域の破壊を長引かせるだけだ」と反論。

シンワルの携帯番号を提示して、「本当に停戦を望むなら、ハマスのトップ、ヤヒヤ・シンワルに電話し、自主して人質を返すように言いなさい。それで永遠に続く停戦が実現するだろう。」と言った。

www.timesofisrael.com/un-general-assembly-overwhelmingly-passes-non-binding-motion-demanding-gaza-ceasefire/

www.jpost.com/international/article-777778

ガザ民間人の現状:このままでは餓死も懸念

ガザ民間人の状況は地獄と報じられるほどに悪化している。ガザでの死者は、ハマス発表によると1万8200人。国連は、食糧不足で、餓死する人が出ると懸念を表明している。

しかし、人道支援物資の搬入は、セキュリティチェックが難しく(シンワルは、ガザ北部から南部へ人道支援物資トラックに潜んで逃亡したとみられている)、10日にトラック100台が、ラファからガザへ入ったが、到底十分な量ではない。

国際社会の圧力により、イスラエルは、ケレン・ショムロンでの搬入物検査を開始し、検査場を2箇所にしたが、ガザへの搬入は、ラファだけであるため、搬入はなかなか進まない。以下はラファでのガザ入りを待つトラック。

シオニスト自称のバイデン大統領も懸念隠せず

アメリカは今も強力なイスラエル支援国である。10日、アメリカ政府は、イスラエルに対する緊急軍事供給として1億600万ドル(200億円)分を可決した。内容は、戦車砲などの銃弾とのこと。(MSNBC)

注目されているのは、この可決が、従来の上院や下院での審査をすべてスキップしていた点である。バイデン大統領は、昨日ホワイトハウスで行われたハヌカのパーティで、自分はユダヤ人ではないが、シオニストだと宣言。最後までイスラエルへの軍事支援は続けると語った。

しかし、同時に、ガザ市民が多く死亡し、人道支援が入らないようなら、イスラエルは国際社会からの支援を失うだろうとも警告した。バイデン大統領は、ネタニヤフ政権が、強硬右派であり、特に極右政党の政治家も加わっていることから、これについて、ネタニヤフ首相は変わらなければならないとも語った。

www.timesofisrael.com/biden-indiscriminate-bombing-costs-israel-support-netanyahu-has-to-change/

戦闘が長引くことで、双方に死者が多数出て、イスラエルには不利な状況になっていくだろう。早くシンワルをみつけて、ハマスが崩壊するようにと祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。