カトリックの教皇フランシス(77)の・ヨルダン・イスラエル・パレスチナ訪問の日程が近づいてきた。(5月24-26日)。
現時点で明らかにされた情報によると、今回、最大の目的であるカトリック教会と、東方正教会との和解は、26日、エルサレムの聖墳墓教会*において両者が和解の合意書に署名することになっている。
*聖墳墓教会 ー エルサレムのイエス・キリストの十字架と復活とされる場所。カトリック教会、東方正教会などプロテスタント以外の伝統派キリスト教会の様々な宗派が同居している教会建物。
カトリック教会と東方正教会が相互破門して断絶したのは1056年。その後、約900年経過した1964年、教皇パウロ6世とアナシゴラス総主教が、はじめて会談し、具体的な和解への努力が始まってから今年ちょうど50年である。
<ユダヤ教・イスラム教代表同伴・レバノンからマロン派カトリック枢機卿も合流>
先週、イスラエルとパレスチナの和平交渉が頓挫した。これを受けて、教皇の訪問は、教会の一致だけでなく、「中東の平和を祈る祈りの巡礼」という要素がクローズアップされてきた。
今回、教皇フランシスは、ユダヤ教とイスラム教の代表を同伴し、各地で、中東の平和への祈りを捧げる予定。
今回は、レバノンからマロン派カトリックのバカラ・ライ枢機卿も、エルサレムで教皇フランシスに合流することになっている。レバノンとイスラエルの間には2006年にもヒズボラ主導で戦争があり、まだ和平合意もなく、当然、国交もない。
ヒズボラは、ライ枢機卿のイスラエル入りに強く反発している。また、アラブ諸国からも、エルサレムがまだイスラエルに”占領”されたままで、エルサレムを訪問する教皇フランシスに対して、不満が殺到しているという。
レバノンのライ枢機卿は、「政治的な意味はない。聖墳墓教会に言って、エルサレムはアラブだと伝えるつもりだ。」と言っている。まバチカンの報道官は、「今回は、あらゆる方向から文句を言われるということでバランスをとっている。」と大きくかまえている。
<教皇の予定>
歴訪は3日間。非常に短期間であるため、ほぼ15-30分おきの移動、予定となっている。
24日:朝8時半にバチカン出発。午後、ヨルダン到着。歓迎式典と、アブドラ国王面会。アンマンの球場でのミサ。19:00 ベタニヤ(ヨルダン川沿岸でイエスがバプテスマを受けた場所(ヨルダン側)でミサ。19:15 ヨルダンにいる60万人のシリア難民面会。
25日:ヘリコプターでベツレヘムへ移動。アッバス議長官邸でアッバス議長面会。生誕教会でミサ。パレスチナ人カトリック教徒と食事。パレスチナ難民キャンプの子供たちを訪問。ヘリコプターでベングリオン空港へ。
歓迎式典の後、スコーパス山で、バルソロメオス1世と面会後、聖墳墓教会へ移動して調印。カトリック司祭たちと食事。ノートルダムセンター泊。
26日:イスラムのエルサレムのイスラム教指導者と面会。嘆きの壁。ヘルツェルの丘で献花。ヤドバシェム訪問。イスラエルの2人のチーフラビ訪問。ペレス大統領訪問。ネタニヤフ首相と面会(ノートルダムセンターにて)。ー ここまでが午前中
オリーブ山で、バルトロメオス1世訪問(3回目)ゲッセマネの園で、カトリック献身者と面会。カトリック教会でミサ。ヘリコプターでベングリオン空港へ。バチカンへは夜11時着。
この間、教皇フランシスは各地でメッセージし、祈りを捧げる。また、パレスチナ人囚人についてはどういうのか、イスラエルの入植地についてはどういうのか、教皇の言動は文字通り、一言一句、一挙一動、世界中が注目することになる。77才の教皇には相当なストレスだろう。
またイスラエルでは、最近、ユダヤ人過激派らが、教会に「我々にはダビデ。イエスはごみだ。」と書くなどの動きがある。バチカンは、イスラエルに治安の強化を要請している。
警備上の問題から、イスラエルでは、指定メデイア以外の報道陣は、基本的にベングリオン空港での取材のみと言われている。
<ギリシャ正教のナダフ神父破門される>
上記の記事とは逆行することになるような情報だが、アラブ人クリスチャンのイスラエル軍への従軍を訴えてきたギリシャ正教のガブリエル・ナダフ神父が、教会から解雇されるみこみとなった。
教会はナダフ神父に従軍問題に関わらないよう警告していたが、従わなかったとしての処置。まだ文書による正式な解雇ではないとナダフ神父は言っている。