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今夜からハヌカ
イスラエルでは、今日10日日没から18日日没までの8日間のハヌカのシーズンに入る。町では、ハヌカ・キャンドルが灯され、スフガニヤという華やかな揚げパンが並ぶ季節である。
嘆きの壁には、大きなハヌカ・キャンドルが、設置される。今年は、コロナ禍で、点火式に人々が集まれないので、オンラインで、流されることになる。イスラエル時間で今日午後5時から6時。(日本時間11日深夜0時より)
*ハヌカとは
紀元前6世紀前半、バビロン捕囚から戻ったユダヤ人たちは、再び神殿のあるエルサレムを再建した。しかし、完全な独立国ではなく、様々な大国の影響を受ける時代が続く。
紀元前2世紀には、かつての大ギリシャ帝国から分かれ出たエジプトの支配を受けていたが、175BC、シリアのアンティオカス4世、エピファネス王がエジプトを攻撃し、その通り道にあたるエルサレムに乗り込んできたのであった。
168BCには、エピファネス王は、バビロンから帰還後に再建されていたエルサレムの神殿を汚し、ユダヤ人たちが律法を守れないようにするという、これまでにない厳しい迫害を開始する。これを撃退したのが、マカビーというユダヤ人一家である。
マカビー一家は、父と5人の息子という、わずかな人数で、エルサレムから、奇跡的に強大なシリア軍を追い出し、神殿をきよめ直したのであった。この時、メノラー(神殿のろうそく)を灯したのだが、1日分の油で8日間燃え続けたと伝えられている。
これを記念し、メノラーは、通常、7本枝だが、ハヌカの期間だけ、9本メノラー(1本は中央に点火用)を毎日1本づつ、8日間ともして、ユダヤ人一家がもたらした奇跡の勝利を思い、神に感謝を捧げる。再献身の時でもあるとされる。
イスラエルでは、油を記念し、華やかな揚げパン(スフガニヤ)が街に出回り、その甘さを家族や友人たちと楽しむ。街の通りにはあちこちにメノラーが灯され、クリスマス一色の中で、ユダヤ人もまた、冬の寒さの中にあって心が華やぐ季節である。
Kippalive(2015)
ハヌカに向けた保健省からの指示
イスラエルでもコロナの感染が少しづつ拡大しており、1日の新規感染者は1500−2000人となっている。重症者は310人。人工呼吸器依存者は113人である。
こうした中、12月は、ハヌカとクリスマスを迎える。政府は12月9日から1月2日までは夜間外出禁止と指示していた。しかし、経済への影響が大きく、貧困者も激増していることから、政府の対応には、他国と同様、迷いや矛盾もみられる。
先月から、試験的に一部のモールの開店営業が許可されていたが、結局、継続して営業を許可することとなった。
ところがこの翌日、ハヌカの10日から17日までは、17:30時から深夜まで、同居していない家族を含め、他人の家を訪問することを禁止すると指示した。
これについては、ユダヤ人が多数の地域に限られ、のちのクリスマス時期には、アラブ人クリスチャンの居住地で同様の規制が指示されるとのこと。
ハヌカやクリスマスに夜間外出できないとは、悲しいことだが、ちょうどこの日9日、くしくもハヌカの直前に、ファイザーのワクチンの第一便が届いたのであった。このため、政府は、大きな希望を持ってこの指示を国民に伝えることになった。