エルサレムと各地で反ネタニヤフ首相デモ:荒れるイスラエル人たち 2020.9.28

本文内引用ツイッターのスクリーンショット

コロナ感染拡大中ではあったが、政府からの明確な禁止措置が出なかったことで、26日には、予定どおり、エルサレム、テルアビブ、カイザリアで、大規模な反ネタニヤフ首相デモが行われた。中には、ロックダウンに反対の声を上げる人もいた。

エルサレム、首相官邸前では、1万6000人が集まったとみられ、蜜状態であった。警察との衝突もあり、5人が逮捕され、150人が罰金のチケットを切られたとのこと。アメリカでもBLMデモの後に感染が拡大したことから、

テルアビブではラビンスクエアに数百から数千人が集まった。エルサレム、カイザリア(ネタニヤフ首相私邸)に向かう高速道路では、車に乗ったままで大渋滞のようなデモが行われた。

www.timesofisrael.com/thousands-take-part-in-protests-against-netanyahu-in-jerusalem-tel-aviv/

<2週間ロックダウンの弊害:こころのケアの重要性>

イスラエル人は、なによりも家族や友人たちと共に過ごすことを好む人々である。家から出られない苦痛は、プライベートを好む日本人の私たちには想像もできないほどだろう。しかも、2週間で終わるかどうかわからないと言われているようなロックダウンに、元気なイスラエル人が耐えられるとは考え難い。

上記のようなデモに参加するほどの人は大勢だが、無論、一部の人々で一般の人々はそこまで行ってはいない。それでもストレスはたまっているはずで、2回目のロックダウンで、家庭内暴力など、暴力も大いに懸念される。

また、すでに失業者100万人とも言われる中、2回目のロックダウンで、新たに30−40万人が職を失うとみられている。ただ家にこもっているだけで、お金がなくなっていく。精神的に限界である。

ロックダウンになったため、イエスを信じるユダヤ人たちも再び集まることができなくなった。エルサレムアッセンブリーのメノー牧師は、ユーチューブでの礼拝直後にズームで集まって共に祈る時間を持つことを継続している。

この土曜日も90人が集まったが、これは、いつも教会に集まっている人々の半分ぐらいだろう。技術的に難しい人に加えて、ズームで集まることに賛同しない人もいる。

メノー牧師は、「ズームは、確かに教会ではない。教会とはいえない。しかし、いかんせん、これが今与えられている唯一の手段だ。顔を見るだけでも関係は維持できる。顔をみなかったら、関係は崩れていく。」として、さらなる参加を呼びかけていた。

また、この土曜日、一人の女性は、昨日から2週間の無給休暇を言い渡されたという。メノー牧師は、教会では祈るだけでなく、実際的なケアもしているので困ったら、いつでも電話するようにと言っていた。

幸い、エルサレムアッセンブリーには、熱心な子供ミニストリーチームがいる。子供のいない人も、ワッツアップ(日本のライン)を通じてつながり、お話読み聞かせや、工作、家族でやってみよう的なゲームが送られてくる。それを実施して、ビデオにとり、ラインのグループにアップする。かわいい子供たちや、家族たちの笑顔が、本当に大きな励ましになっている。

このコロナ問題、どこまで恐るべきか、恐れないべきかにおいても、決定的な答えがないまま、医療、経済、教育、人間関係、あらゆるものの本質があらわにされ、社会全体をも揺るがしている。この試練をイスラエルはいったいどのように解決していくのだろうか。ヨム・キプールの今日、創造主なる主の前に、まさにへりくだる時となっている。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。